さわやかな朝の挨拶のガイドライン　第三章

「私は世界一の外科医だ！」
『財前教授の総回診です…』
さわやかなアナウンスが、澄みきった廊下にこだまする。
白い巨塔のお庭に集う医師たちが、今日も天使のような無垢な笑顔で大行進！！
教授になりたい野望を包み隠すのは、真っ白な白衣。
患者の遺族から訴えられないように、カルテの改ざんは悟られないように、
修正液で事実の確認をするのがここでのたしなみ。
もちろん、証拠保全で狼狽するはしたない医師など存在していようはずもない。

浪速大学病院。
百年以上の歴史を誇るこの病院は、もとは患者の治療のにつくられたという、
伝統ある白い巨塔である。
大阪府下。教授戦での裏工作が未だに行われる地位と名誉が物を言うこの病院で、医師に見守られ、
生まれてから死ぬまでの一貫治療が受けられる患者の園。
時代は移り変わり、元号が明治から三回も改まった平成の今日でさえ、
医療ミスであぼーんした弁当者の主人が箱入りで出荷される、
という仕組みが未だ残っている貴重な医院である。

「この新病棟を建てたのは私の功績なんだ・・・」
『東教授の総回診です…』
さわやかなアナウンスが、澄みきった廊下にこだまする。
白い巨塔の外科病棟に集う医局員たちが、今日も天使のような無垢な笑顔で大行進！！
教授になりたい野望を包み隠すのは、もうなんか生意気な財前助教授。
医局内の空気は乱さないように、同志鵜飼の陰謀を見流さないように、
定年退官の安全を確保するのがここでのたしなみ。
もちろん、教授戦で学外を押すなどといった、はしたない東都大など存在していようはずもない。

浪速大学病院。
百年以上の歴史を誇るこの病院は、もとは従軍医師養成のためにつくられたという、
伝統ある白い巨塔である。
大阪府下。旧病棟の残骸を晒すこの地区で、鵜飼医学部長と東教授に見守られ、
大河内教授の基礎教育が受けられる医学生の園。
時代は移り変わり、元号が明治から三回も改まった平成の今日でさえ、
一年通い続ければ温室育ちの派閥族が箱入りで出荷される、
という仕組みが未だ残っている貴重な病院である。

まさかノベライズとドラマを混同してしまうなどといった、はしたない>>491など（以下略