さわやかな朝の挨拶のガイドライン　第三章

「月は出ているか？」
「月は出ているかと聞いている！」
さわやかな艦長の怒声が、張り詰めたブリッジにこだまする。
バルチャー艦に集う海千山千の者たちが、今日も天使のような無垢な
笑顔で、その日その日の戦いをくぐり抜けていく。
汚れを知っている心身を包むのは、さまざまな色のモビルスーツ。
サテライトキャノンは乱発させないように、エアマスターはエサにするように、
しっかりと戦うのがここでのたしなみ。
もちろん、世界を混乱に陥れようとするなどといった、はしたない兄弟など存在していようはずもない。

フリーデン。
戦後直後に作られたこの一行は、もとはニュータイプ保護のためにつくられたという、
伝統あるバルチャー集団である。
アフターウォー。第７次宇宙戦争の爪跡を未だに残している荒野ばかりのこの世界で、ティファに見守られ、
少年メカマンからコーヒー医師までの一貫教育がうけられるバルチャーの園。
時代は移り変わり、艦名がアルプス級陸上戦艦から宇宙戦艦に受け継がれた今日でさえ、
十五年通い続ければティファへの一目ぼれで同行することになった少年がきっかけで
ニュータイプという名の憑き物が落ちる、
という仕組みが未だに残っている貴重な一行である。


元ネタ：機動新世紀ガンダムＸ