さわやかな朝の挨拶のガイドライン 第三章

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133水先案名無い人
「アップ ライ レフ ダウン」
「チュー チュー チュー!」
怪しげな宇宙人のかけ声が、混みきったスペースポートにこだまする。
異常事件の現場に集う乙女たちが、今日もカメラ目線のクールな笑顔で、踊らされた人々を生中継していく。
疲れを知らない心身を包むのは、フューチャーレトロな制服。
宇宙人の声と動きには注意するように、地球人はBボタンビームで救出するように、
踊りで勝負するのがここでのたしなみ。
もちろん、スペース小学生にAボタンビームを浴びせるなどといった、はしたないリポーターなど存在していようはずもない。

スペースチャンネル5。
25世紀ごろ創立のこの放送局は、もとは真実の報道のためにつくられたという、
伝統ある突撃リポート系宇宙放送局である。
銀河系下。60年代の面影をぎゅんぎゅん残している宇宙服の多いこの宙域で、ディレクターに見守られ、
降板からスクープ報道までの一貫教育が受けられるシチョーリツの園。
舞台は移り変わり、ステージがスペースポートから三回も改まった最後のリポートでさえ、
十八分間踊り続ければにわか育ちの純粋培養バックダンサーがボスキャラ入りで出荷される、
という仕組みが未だ残っている貴重な放送局である。