「キエロー!」
「オトーサマー!」
さわやかなセセリの叫びが、澄みきった青空にこだまする。
ジャコウ様のお庭に集う聖霊機関たちが、今日も天使のような無表情で、標高の高いウツロブネをくぐり抜けていく。
恐れを知らない心身を包むのは、深い色の機甲羽根。
ガルーダの性別は乱さないように、赤いライフアイテムは翻らせないように、
ゆっくりと攻めるのがここでのたしなみ。
もちろん、被弾ギリギリで錬金されるなどといった、はしたない弾幕など存在していようはずもない。
エスプガルーダ。
平成十五年稼動開始のこの基盤は、もとはジュンヤーの戦線離脱のために路線が変わったという、
伝統あるESP者系お嬢さまシューティングゲームである。
シンラ支配下。大往生の面影を未だに残している断崖絶壁の多いこの地区で、神に見放され、
錬金から覚聖赤弾までの一貫教育が受けられる聖霊の園。
時代は移り変わり、販売がATLUSから三回も改まったAMIの今日でさえ、
十六年隠れ続ければ王城育ちの純粋培養皇女さまが箱入りで養殖される、
という仕組みが未だ残っている貴重な最終鬼畜実父である。