さわやかな朝の挨拶のガイドライン 第二章

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657水先案名無い人
「JONR−TV チャネル6」
「ABC 朝日放送です」
古くさい未来からの挨拶が、澄みきった青空にこだまする。
淀君のお膝元に集う社員たちが、今日も天使のような無垢な
笑顔で、リフォームされない社屋をくぐり抜けていく。
汚れを知らない心身に光るのは、三つ目の社章。スタジオや廊下は
揺れないように、白いアスベストは翻らせないように、ゆっくり歩くのがここでのたしなみ。
もちろん、後輩をコケにするなどといった、はしたない重役など存在していようはずもない。

朝日放送株式会社。
昭和二十六年創立のこの民放は、もとは毎日への対抗意識のためにつくられたという、
伝統ある半独立系ラ・テ兼営局である。
大阪市内。下町の面影を未だに残している地名の多いこの街で、タワーに見守られ、
おは朝から阪神戦までの一環視聴がうけられる関西人の園。
時代が移り変わり、ネットががTBSからテレアサに改まった平成の今日でさえ、
十八年視聴し続ければ温室育ちの純粋培養阪神ファソが箱入りで出荷される、
という仕組みが未だに残っているけったいな放送局である。