さわやかな朝の挨拶のガイドライン 第二章

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47水先案名無い人
「冬だからな!」
「そこは流せ」
さわやかでないげんしけん会員達の会話が、冬の雨空にこだまする。
一般参加者の行列に集うオタクたちが、欲望にまみれた笑顔で、東京ビッグサイトの門をくぐり抜けていく。
煩悩ではちきれそうな心身を包むのは、垢抜けない私服。
コミフェス会場では徹夜はしないように、開場ダッシュなどしないように、ゆっくり歩くのがここでのたしなみ。
もちろん、はしゃいでこけて手を骨折し、我慢したあげく気絶して担架で運ばれるといった、
はしたない会員など存在していようはずもない。

現代視覚文化研究会。
いつ創立されたのか謎なこのサークルは、もとはマニアックなサークルに入れない
中途半端なオタク達のためにつくられたという、それなりに伝統あるオタク系サークルである。
東京都下。武蔵野の面影を未だに残している緑の多い某大学のサークル棟で、
前現視研会長に見守られ、 同人誌からコスプレまでの一環教育がうけられるヌルいオタクの園。
時代が移り変わり、会長が斑目に改まった平成の今日でさえ、
四年通い続ければ温室育ちの純粋培養ヌルオタが箱入りで出荷される、
という仕組みが未だに残っている貴重なサークルである。