さわやかな朝の挨拶のガイドライン 第二章

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395水先案名無い人
「ボールを持ったら、観客全員が自分を見ていると思え」
「トシ、サッカー好きか?」
さわやかなキャプテンの号令が、澄み切った青空にこだまする。
久保に憧れて集ったサッカー部員が、今日も天使のような無垢な
笑顔で、朝練に勤しむ。
汚れを知らない心身を包むのは、赤と白のユニフォーム。
アイコンタクトで仲間を理解できるように、キャプテンにどやされないように、
全力でプレーするのがここでのたしなみ。
もちろん、恋人とキスの直後に勃ったままフィールドに立つような
はしたないゴールキーパーなど存在していようはずもない。

県立掛川高校サッカー部。
創部2年のこのクラブは、もとは「天才」久保嘉晴が自由なサッカーをするために作ったという、
伝統のないサッカー部である。
静岡県。日本のサッカー王国と呼ばれるこの地区で、キャプテンに見守られ、
高校の間一貫したサッカー教育が受けられるサッカー少年の園。
時代が移り変わり、キャプテンが久保から2回も改まった今日でさえ、
高校3年間通い続ければ温室育ちの純粋サッカー少年が箱入りで出荷される、
という仕組みが未だに残っている貴重な部活である。

368-369-381に続き4作目。元ネタは「シュート!」(週刊少年マガジン連載)