僕の家は自営で町工場をやっています。 父が創業者で2年前に長男の僕が後を継ぐということで入りました。
それは去年の春先のこと。毎晩毎晩父と母が資金繰りのことでけんかをしていました。
吹けば飛ぶような町工場ですから、いままで潰れずに続いていたのが不思議なくらいです。
僕はここ数ヶ月、頭痛と下痢に悩まされてしました。
それは会社の経営が行き詰まっているため精神的なものだと思っていました。
ある日、飲み会があり、家に帰るのが夜中になってしまいました。 腹ごしらえも済ませてしまったので、
その時残っていた僕の分の夕飯を、飼っている犬に与えたところ食べようとしません。
小犬が食べようと近づくと親犬が食べさせようとしません。
おかしいなと思いましたが酔っ払っていたのでそのまま寝てしまいました。
3月末の決算が近づき、書類に目をとおしていると前年度の5月から会社が僕にかけている生命保険の掛け金が
べらぼうに高くなっている事を発見しました。その時もそのまま確かめずに決算書に素直に記載しました。
親と同居だったのですが8月からアパート住まいをはじめました。そしたら、頭痛と下痢がうそのように治ってしまいました。
気分もさわやかになり、がんばって営業も精力的に回り、年の暮れあたりからIT関連の部品加工が伸びてきました。
おかげさまで借金も減り、明るい展望が見えてきたのです。
いま、今年9月の仮決算の書類の最終結果を眺めていますが、保険掛金は以前の額に戻っています。
あの頃、両親は僕を殺そうとしていたのでしょうか。