さわやかな朝の挨拶のガイドライン

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110水先案名無い人
「まわせー!」
「GOOD LUCK」
さわやかな出撃の挨拶が、澄みきった蒼穹にこだまする。
サキ様のお庭に集うエトランジェ達が、今日も天使のような無垢な笑顔で、
滑走路を飛び立っていく。
汚れを知らない心身を包むのは、鉄の棺桶。
ランニング・テイク・オフから一回ひねりのように、隊長機から軸線はずらすように、
急いで出撃するのがここでのたしなみ。
もちろん、被弾したからといってすぐ脱出するような、はしたない戦士など存在していようはずもない。

エリア88。
アスラン内戦時に設立されたこの基地は、もとから外人部隊のためにつくられたという、
伝統ある空軍基地である。
アスラン王国。荒涼たる砂漠ばかりのこの地区で、悪魔も見捨て、
機体から弾薬まで自給自足で揃えなければならない男の園。
時代が移り変わり、敵が反乱軍からプロジェクト4に改まった今日でさえ、
生き残りさえすれば心臓がビス止めで血管にはジェット燃料が流れる傭兵が出荷される、
という仕組みが未だに残っている貴重な地獄の一丁目である。