共産主義になった翌日、私は中古探しにいって即決した。
もう冬だというのに木は青々としている、カッコイイ、マジで。
人々の表情は希望と活気に満ち、アクセル踏むと走り出す。
「スポーツカーがMTの時代は終わったのだな」
昨日までとある一流企業に勤めていた店員さんが、ほっとしたように私たち夫婦に言った。
「ええ、これからはNA坂道でとまるとちょっと怖い時代なんですよ」
普段は滅多に話に加わらない妻の靖子が、店員さんの肩に手を置いて優しく言った。
「ターボを御覧なさい。タービンがあるかないかでそんなに変わったらアホ臭くてだれもNAなんて買わないじゃないですか」
通りがかりの髪の長い中年男がそう言って微笑んだ。
34GTRは東関東自動車道を140キロでで走り、GTO,NA,ATに抜かれた。
「つまりはGTRですらGTOのNAには勝てないと言うわけだ、個人的には大満足しよう」
一仕事終えた農夫の表情で男は言った。