村上春樹的スレのガイドライン

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407水先案名無い人
「複数アカウントの何がいけないかわかるかね?」
「いや、わかりませんね。規約に書いてあることを忠実に守っているだけですから」
僕がそういい終わった後、その部屋には濃厚な沈黙の霧が湧き出した。
「問題は、」と三木谷が言った。
「君が規約にすべて目を通し、その規約に則って行動しているということだ」
三木谷は上着の内ポケットからダンヒルの葉巻を取り出し、ゆっくりと火をつけた。
葉巻の先からは、紫色の煙が行き所を失った楽天市場の店子のように彷徨い消えていった。
「しかし人は規約のみに生きているわけではない。そうだね?」
僕は何も言わなかった。
「君が規約に同意するということで、君は規約に縛られることになる。しかし同時に、
規約も君に縛られることになる。結局存在とは関係のことだからね」
「しかし規約は存在実存しません」
「実存とは表現だ。そして規約も表現されることによって我々の前に現前する」
「詭弁のように聞こえますね」
三木谷はゆっくりと葉巻を吹かし、悪趣味な金色の灰皿の中に灰を落とした。
「請求だ」
その響きには毅然とした決意というより、いらだちのようなものが含まれていた。