夏目漱石「坊ちゃん」のガイドライン

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538水先案名無い人
何の気もなく教場へ入ると、黒板いっぱい位な大きな字で、【魔法先生】と書いてある。
俺の顔を見てみんなわぁと笑った。俺は馬鹿々々しいから、「魔法使いが先生やっちゃおかしいか」と聞いた。
すると生徒の一人が、「然しドラゴン退治は過ぎるぞな、もし」と言った。ドラゴン退治だろうが吸血鬼退治だろうが、俺の休みで
俺が図書館島探検するのに文句があるもんかと、さっさと講義を済まして控所に帰ってきた。
十分経って次の教場にでると【一つ図書館探検部とドラゴン退治也。但しのどかの出番を増やす可からず】と黒板に書いてある。
さっきは別に腹も立たなかったが今度は癪に障った。冗談も度を越せばいたづらだ。
アスナのパ〇パン(反対語は、龍宮はボーボー)のようなもので、誰も誉め手はない。
田舎者は此呼吸が分からないから、どこ迄押していっても構わないという了見だろう。
一時間も歩くと見物する町もないような狭い都に住んで、外に何も芸がないから、ドラゴン退治事件を
日露戦争のように触れちらかすんだろう。憐れな奴らだ。
子供の時から、こんな教育されるから、いやにひねっこびた、植木鉢の楓見た様な小人ができるんだ。
無邪気なら一所に笑ってもいいが、こりゃなんだ。子供の癖に乙に毒気を持ってる。
「こんないたづらが面白いか、卑怯な冗談だ。君らは卑怯という意味を知ってるか」と言ったら、
「アスナさんは関係ないですからと言って仲間外れにするのが卑怯ぢゃろうがな、もし」と答えた奴がある。
やな奴だ。
わざわざウヱールズから、こんな奴を教えにきたのかと思ったら情けなくなった。