夏目漱石「坊ちゃん」のガイドライン

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347亡国のイージス風1
何の気もなく水密戸を開けると、コンソールいっぱい位な大きな文字で、【仙石逆効果】と書いてある。
モニタの向こうのホ・ヨンファがわずかに表情を動かした。俺は馬鹿々々しいから、
「人の道を説いちゃおかしいか」と聞いた。
すると市ヶ谷の直通回線から、「然し如月の足を引っ張りすぎるぞな、もし」と言った。
足を引っ張ろうが独断専行しようが、俺の船で俺が道理を説くの文句があるもんかと、
一瞥して弾薬庫に一時待避した。

1時間ほど経っただろうか、排気口を通って甲板にでると【一つ仙石逆効果也。但し如月行に注意】と
無電源無線からかすかな音が聞こえた。
さっきは別に腹も立たなかったが今度は腹に熱いものを感じた。人の命がけを何だと思ってやがんだ。
海自隊員の船酔い(反対語は、上陸時の酒酔い)のようなもので、誰も誉め手はない。
平和ボケした日本人には所詮反撃ができないから、どこ迄押していっても構わないという了見だろう。
たった二人の兵士に10人近い部下を失い、外に打つ手がないから、せいぜいこの俺を挑発することで、
反撃のチャンスを伺っているのだろう。憐れな奴らだ。
子供の時から、どんな教育をされたのか知らないが、いやにひねっこびた、殺戮を楽しむような人間
ができるんだ。いや、奴等には既に人間という名前はふさわしくないのかもしれない。
単なる挑発なら一所に笑ってもいいが、こりゃなんだ。単なる挑発と見せかけて乙に毒気を持ってる。
「こんな挑発が面白いか、卑怯な冗談だ。君らは卑怯という意味を知ってるか」と言ったら、
「機密保全の名の下に、前途ある一自衛官の命を絶つ事が卑怯ではないか。」と答えた奴がある。
やな奴だ。
わざわざ艦に戻って、こんな奴を助けに来たのかと思ったら情けなくなった仙石は、顔を上げた。
348亡国のイージス風2:03/11/08 02:04 ID:iggrFwC7
声の主は艦長の宮津だった。その場にざらっとした空気が走った。宮津は馬鹿々々しくなり、
「卑怯者に対して、私怨で艦を動かしてはおかしいか」と聞いた。
すると市ヶ谷の直通回線が「然し君はホ・ヨンファの駒に過ぎぬ」と言った。たとえそうだとしても
俺の私怨で俺の艦を動かすのに文句があるもんかと、表情を変えず最後通牒を突きつけて回線を切った。

3時間経って再び回線を繋ぐと、【一分間黙祷】と黒板に書いてある。
ホ・ヨンファは、さっきは別に腹も立たなかったが今度は癪に障ったらしく、唇の端を歪めた。