夏目漱石「坊ちゃん」のガイドライン

このエントリーをはてなブックマークに追加
254水先案名無い人
何の気もなく脳内の館へ入ると、女の子位なか細い声で、【あ、ご主人様…】と聞こえてくる。
俺の顔を見てみんなわぁと微笑んだ。俺は馬鹿々々しいから、「主が帰ってきたのが嬉しいか」と聞いた。
するとメイドの一人が、「然し四人は過ぎますよ、ご主人様」と言った。四人雇おうが五人雇おうが、俺の館で
俺の傍に置くのに文句があるもんかと、さっさと調教を済まして自室に帰ってきた。
十分経ってメイドの部屋にでると【一人慰め三回まで。但し求める可からず】と壁に書いてある。
さっきは別に腹も立たなかったが今度は癪に障った。忠誠も度を越せば愛情だ。
焼餅の黒焦(反対語は、焼餅は狐色)のようなもので、誰も誉め手はない。
メイドは此呼吸が分かってるから、どこ迄されても構いませんという了見だろう。
一時間も掃除すると片付ける物もないような狭い館に仕えて、外に出る事も許されないから、主人との夜伽に
憧れるんだろう。憐れな奴らだ。
子供の時から、こんな教育されるから、いやにひねっこびた、植木鉢の楓見た様な仕え方ができるんだ。
無邪気なら一所に笑ってもいいが、こりゃなんだ。メイドの癖に乙に媚びを持ってる。
「そんなに私とするのが嬉しいか、卑怯な忠誠だ。君らは地下室が何をするところか知ってるか」と脅したら、
「お、お許しくださいご主人様…」と答えた奴がある。
可愛い奴だ。
わざわざ現実から、こんな妄想を描いているかと思ったら情けなくなった。