夏目漱石「坊ちゃん」のガイドライン

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210水先案名無い人
何の気もなくセンタアへ入ると、デスプレヱいっぱい位な大きな字で、【コロムビア行方不明】と書いてある。
俺の顔を見てみんなわぁと青ざめた。俺は馬鹿々々しいから、「宇宙で揉め事が起きちゃおかしいか」と聞いた。
すると職員の一人が、「然し空中分解は過ぎるぞな、もし」と言った。空中分解しようが大気圏で燃え尽きようが、どうせ俺の銭じゃないのだ知った事があるもんかと、さっさと非常時体制を敷いて控所に帰ってきた。
十分経って次のルウムにでると【一つ約四億七千万弗也。無論落とす可からず】とデスプレヱに書いてある。
さっきは別に腹も立たなかったが今度は冷や汗が出た。冗談だとかいたづらだとか誰か言ってもらいたい。
船体の黒焦(反対語は、乗組員全員無事帰還)のようなもので、誰も誉め手はない。
田舎者は此呼吸が分からないから、どこ迄押していっても構わないという了見だろう。
一時間も歩くと物取りに二回は遭うような狭い都に住んで、外に何も芸がないから、シヤトル行方不明事件を
アポロ十三号のように触れちらかすんだろう。俺も責任者じゃなかったら触れちらかしたい。
子供の時から、こんな教育されるから、いやにひねっこびた、俺みたいな様な小人ができるんだ。
通信機故障程度なら一所に笑ってもいいが、こりゃなんだ。人を乗っけてる癖に後に破片を撒いてる。
「こんないたづらが面白いか、卑怯な冗談だ。君らは卑怯という意味を知ってるか」と言ったら、
「こりゃいたづらや冗談ぢゃのうて、実際に事故っとるんぢゃろうがな、もし」と答えた奴がある。
やな奴だ。
わざわざワシントンから、こんな船の責任者になりにきたのかと思ったら目の前が真っ暗になった。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030201-00000014-yom-int