「なぜナポリタンは赤いのだろうか」のガイドライン

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143水先案名無い人
我々はナポリタンが何故赤いのかという
積年の疑問を解決するため、ナポリタンの故郷である洋食屋に向かった。
「まだ日本にこんなところがあったのか…」
思わず口に出てしまった言葉を同行した上司に失礼だと咎められた。

小人が来るような小さな店、ケチャップまみれの服を着る料理人たち、
そして彼らは一見さんで身なりのいい我々を監視する様に見詰めている。
グルメブームだの、イタリアンパスタだの、アルデンテだので浮かれていた
我々は改めて洋食屋の現状を噛み締めていた。

ボロ屑のような厨房に居たのは老いたシェフ一人
我々を見るなり全てを悟ったのか、涙ながらに
「先代が申し訳ありません」と我々に何度も土下座して詫びた。

我々はこの時初めてナポリタンを許そうと思った。
誰が悪い訳ではない、洋食屋の貧しさが全て悪かったのだ。
我々はシェフから貰ったみかづきのイタリアンを手に、
打ちひしがれながら東京へと帰路についた。