諸君 私は詭弁が好きだ
諸君 私は詭弁が好きだ
諸君 私は詭弁が大好きだ
決め付けが好きだ 陰謀説が好きだ レッテル張りが好きだ 人格批判が好きだ
蒸し返しが好きだ 事実に反する仮定が好きだ 重箱の隅つつきが好きだ
話題そらしが好きだ 勝利宣言が好きだ
議会で 学会で 職場会議で ホームルームで 家族会議で 新聞で 雑誌で
テレビで ラジオで 掲示板で
この地上で行われる ありとあらゆる詭弁が大好きだ
主観をならべた 決め付けの一斉攻撃が ため息と共に論敵を 呆れさすのが好きだ
声高く掲げ上げられた反論が 人格批判でうやむやになった時など 心がおどる
詭弁者の操る 新しい概念への盲信が 敵論旨をミスリードするのが好きだ
証拠を揃えて 煮詰まった議論から 抜け出してきた論陣を ごくまれな反例で
ひっくり返した時など 胸がすくような気持ちだった
仮定の話をそろえた 机上の空論が 確かな事実を 混乱させるのが好きだ
知能障害を起こした詭弁者が 既に議論を諦めた論敵に 何度も何度もレッテル張り
している様など 感動すら覚える
現実主義の 常識家達を不毛な議論に 誘い上げていく様などはもうたまらない
決着した話が 私の蒸し返した論点をもとに 次々と挙げられるありえない解決策に
ばたばたとループするのも最高だ
哀れな抵抗者達が 雑多な知識で 健気にも立ち上がってきたのを 細かい部分のミスの指摘が
本論ごと木端微塵に粉砕した時など 絶頂すら覚える
理の通った真っ当な主張に こてんぱんにされるのが好きだ
必死に守るはずだった主張が論破され 矛盾点が暴かれ正されていく様は とてもとても悲しいものだ
声高な正論に押し潰されて 殲滅されるのが好きだ
筋道立った論旨に追いまわされ 害虫の様に地べたを這い回るのは 屈辱の極みだ
詭弁!! 詭弁!! 詭弁!!
よろしい ならば詭弁だ
我々は満身の力をこめて 今まさに振り回さんとする二枚舌だ
だが 文句のつけようのない正論の陰で 半世紀もの間 堪え続けて来た我々に
ただの詭弁ではもはや足りない!!
大詭弁を!! 一心不乱の大詭弁を!!
我らはわずかに一個大隊 千人に満たぬ詭弁者に過ぎない
だが諸君は 一人で千人を煙にまけるる古強者だと 私は信仰している
ならば我らは諸君と私で 総被害者100万と1人の詭弁集団となる
我々を忘却の彼方へと追いやり 眠りこけている連中を叩き起こそう
揚げ足を取って 引きずり下ろし 感情を高ぶらせ 怒り出させよう
連中に恐怖の味を 思い出させてやる
連中に我々の 屁理屈のしつこさを思い出させてやる
天と地とのはざまには 奴らの哲学では思いもよらぬ事がある事を思い出させてやる
一千人の詭弁者の集団で 世界を騙し尽くしてやる