原史奈 part8

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766萌える名無し画像
気ままに連載小説「なにか?じゃねーよ、バーーーカ!」第13話

話の内容は、要するに春美が急な用事で温泉に行けなくなったと
いうことだった。それだけなら別によくある話だが、その理由が
あまりにもフザけていた。
なんでも、祖母の友人が霊か何かに取り憑かれたみたいになって
頭がおかしくなっているので、祖母と一緒にお見舞いに行くという
ことだった。
しかも、それは明らかに嘘をついている口調だった。正直言って呆
れた。せめてもう少しマシな言い訳はなかったのだろうか?
その上、何故か「旅館のキャンセル料」としてお金を要求された。
僕は「なんとか別の日にずらしてでも行けないの?」と聞いてみ
たが、この先ずっと土日は仕事が入っていて、次に休みを取れる
のはいつになるかわからない、と言われた。具体的に行事名まで
出して説明してくれたから、これは本当なのだろう。
春美が行かないのなら私もやめる、とゆり子は言った。
恐らくこの二人は最初から僕と旅行に行く気など無かったのだ。
小遣い稼ぎのためにまんまと利用されたわけだ。
それでも僕は、春美を責める気にはなれなかった。
(つづく)
767萌える名無し画像:04/08/08 23:41 ID:1QAhoHKv
気ままに連載小説「なにか?じゃねーよ、バーーーカ!」第14話

この件をきっかけに、僕は春美に不信感を抱くようになっていった。
ただ、春美は秘書をやっているだけあって、職場ではすこぶる評判が
いい。誰かに相談したところで、「あの子がそんな詐欺みたいなこと
するわけないだろう」と言って笑われるのがオチだろうと思った。

エンジンの慣らしが終わり、僕は次第に車にのめり込んでいった。
低回転の時こそ、わずかに車体の重さを感じるものの、高回転まで
回した時の感覚はそれまで味わったことのないものだったし、コー
ナリングの限界も、自分の腕では引き出せないのではと思うくらい
高かった。
・・・まあ、前の車がカリーナだったからと言ってしまえばそれまで
なのだが。
ただ、この車に乗っている時だけはすべてを忘れられる、そんな気が
したのは確かだった。
768萌える名無し画像:04/08/08 23:48 ID:1QAhoHKv
連載小説「なにか?じゃねーよ、バーーーカ!」第15話

それから3か月が過ぎた。
あれ以来、僕と春美が職場の外で会うことはなくなっていた。
職場で会った時は普通に話もするし、別に気まずくなった訳では
なかったが、何となく誘いにくかった。
ほかに女友達のいなかった僕は、そろそろ退屈し始めていた。
そんなある日の晩のことだった。
午前零時を回ったころ、突然電話が鳴った。
「もしもし○○くん、まだ起きてた?」
769萌える名無し画像:04/08/08 23:49 ID:1QAhoHKv
連載小説「なにか?じゃねーよ、バーーーカ!」第16話

電話は春美からだった。
前にも書いた通り、僕は春美の声が大好きだった。
嬉しくなって、平日の夜中だというのに話に夢中になった。
久しぶりに食事に行く約束もした。
その時ふと、ある考えが頭の中をよぎった。
(今なら、言えるかもしれない・・・)
しばらく話した後、春美が電話を切ろうとした。
「ちょっと待って。」
「え、まだなにか?」
僕は意を決して告白した。
「前から春美ちゃんのことが好きだった。だから、付き合って
欲しいんだ。」
「え〜っ、なんで?どうして?」
最初に返ってきた言葉がこれだった。
甘い期待は一瞬にして打ち砕かれた。