勝手に連載小説「なにか?じゃねーよ、バーーーカ!!」第8話
「んー・・・、あっ・・・」
春美が目を覚ました。いや、目を覚ましてしまった。
僕は結局なにもできなかった。さすがにエッチするのは無理だとして
も(コンドームも持ってなかったし)、スカートの中くらい見とけば
良かったかなと、後々悔しがる羽目になった。
「起きた?」
精一杯紳士のふりをして、春美に話しかけた。
「・・・うん。」
春美はどこか不機嫌そうだった。
それが、男の車の中で不用意にも眠ってしまったからなのか、実は
内心密かに期待していたのにあてが外れたからなのか、それとも単
に寝起きで頭がぼ〜っとしていただけなのかはわからない。
ただ、大きなチャンスを逃がした事だけは間違いない。
信号待ちで横にオデッセイが並んできた。
助手席の男がこちらをちらちらと見ているのが気になった。
連載小説「なにか?じゃねーよ、バーーーカ!」第9話
信号が青に変わった。
すると、右折すると思っていたオデッセイが直進してきやがった!
この先は道幅が狭くなっている。
前に出ようとアクセルを踏み込んだ矢先、今度は幅寄せだ。
反射的にアクセルを戻してステアリングを切り、難を逃れると、
オデッセイの後ろについた。
普段の僕ならここでブチ切れて徹底的に追いかけ回してやるのだが、
女の子の前であまり凶暴な姿を見せたくもなかったので潔くあきら
めて、後ろから来た速そうなプリメーラにも道を譲ってやった。
「何、あいつー。もしぶつかったら自分の車も傷つくのに。」
その通りだと思った。
その後、オデッセイはプリメーラに30分以上煽られ続けた。スポー
ティセダンに乗る者同士、連帯感のようなものが働いたのだろうか?
胸のつかえが下りた気がした。