■■■ 川瀬智子と愉快な仲間たち Part11 ■■■

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534萌える名無し画イ象
 今日で出張も終わりだ。ふぅ・・・しかしもう9月の半ばだというのに、
京都はまだまだ暑いねえ。こういうときこそ熱いものをしっかり食べて
スタミナつけないとな。おっ、なんか年季を感じるよさげなお好み焼屋が
あるな。入ってみるか・・・

 くすんだ藍色の暖簾をくぐり、引き戸を開けて俺はその店に入った。
「おいでやす〜」
五十代半ばと思われる店の女将がにこやかに声をかける。
「一人なんですけど、いいですか?」
「こちらに、どうぞ〜。」
俺は、招かれるままに女将さんの前のカウンターに腰を下ろした。
535萌える名無し画イ象:04/04/26 21:52 ID:pzfSjDZ5
 お店は昭和の時代のホームドラマに出てきそうな味のある雰囲気を醸し出していた。
壁のポスターでは、俺には何十年前のものかも分からないキャンペーンガールが
水着でジョッキ片手に満面の笑みをたたえていた。後ろのテーブル席では、
近所に住む常連さんなんだろう、家族連れがラフな格好でささやかな外食を
楽しんでいた。壁にかかった短冊状のメニューは7,8種類しかなかったけれど、
俺はとりあえず無難そうなやつを選んでみた。
「女将さん、豚玉一つ。あっ、キャベツ多目でね。」
「はいよっ。」
威勢よく答えた女将だったが、ボールに種を仕込む姿をふと見ると、年齢の割には色は
透けるように白く木目細やかで、若い頃は相当なものだったんだろうなと、俺は思った。
536 ◆zSzw/3emoA :04/04/26 22:05 ID:pzfSjDZ5
リンリンリン。リンリンリン。・・・・電話のベルが鳴った。
女将さんの斜め後ろの戸棚の中段にある黒電話が懐かしいリズムを刻んだ。
「はい、もしもし、お好み焼○○です。」
「・・・・・・。あら!! 俊作さん!? お久しぶりどすなぁ。」
537 ◆zSzw/3emoA :04/04/26 22:23 ID:pzfSjDZ5
「智子でしょ? うん、今うちにいるわよ。ほんと、あの子もいい歳してしょーもない。
いつまで拗ねている気なんでしょうねぇ。ほんまにあの子のわがままには昔から手が焼けるわぁ。」
「智子〜! 俊作さんが心配して電話してくれはったよ。はよう、降りてきなさい。ほれ、智子!!」
女将さんはカウンターの奥にある急な階段の奥に声を張り上げた。その時、俺は動揺していた。
「え?えぇぇぇ!? 俊作に智子だって? ま、まさか・・・」