日本のヒーロー小泉さん

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709無党派さん
「南日本新聞」98年7月24日 前の総裁選の記事
http://www.minaminippon.co.jp/syasetu/sya980724.htm
女の涙はナゾめいているが、男の涙もくせものだ。その心の内をつい勘ぐりたくなる。自民党の総裁選挙で候補の一人、小泉純一郎さんが涙を見せた。三塚派の総会で決意を表明したときだ。あの涙にはどんな思いがこもっていたのだろう

 「人生意気に感じる人なのだと思う。薩摩人の熱い血を感じた」と話すのは加世田市の吉峯幸一さんだ。小泉さんは神奈川県横須賀市で生まれ育ったが、父純也さんは加世田の出身で、苦学の末に代議士になった”立志伝中の人”。その血を純一郎さんも受け継いで「似ているようだ」という。吉峯さんの父は、純也さんと親友だった

 純也さんは、生家の倒産などがあり、貧しい少年時代を送った。尋常高等小学校を出て、鹿児島市の山形屋で働きながら夜学に通った。やがて上京し鹿児島県選出の岩切重雄代議士の書生になる。そして小泉又次郎代議士と出会い、その娘に恋をする

 「お前が代議士になれば、婿にしてやる」と言われた純也さんは、2度目の挑戦だった昭和12年に初当選した。以来、戦後の公職追放期をはさんで連続9期衆院議員に当選し、防衛庁長官も務めた。婿養子となった純也さんは、旧姓鮫島あらため小泉を名乗ることになった

 母校の万世小学校に純也さんの胸像が建つ加世田市へ、純一郎さんは数年前に「里帰り」し、吉峯さんの家も訪ねた。「気さくで偉ぶらず、ハシとした人」らしい ハシとした男が涙を見せて臨んだ総裁選に、きょう審判が下る。同じ自民党の田中真紀子さんは3候補の戦いを「凡人、軍人、変人の戦い」と評したそうだ。変人と切って捨てられた小泉さんには痛快な変人であり続けてほしい。