■村上春樹的永田町■

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61無党派さん
「女優時代にグラビアをとった沖縄の海の色に似ている。」
チカゲはその車体を一目見たときそう思った。
薄いメタリックブルーの新型セダン。国土交通省に導入することになった
ハイブリッドカーだ。その車体は、記者団のフラッシュでますます輝く。

最近、真紀子に人気を奪われているチカゲはあせっていた。
外務省と戦う真紀子。官僚と戦うという同じキャラではつまらない。
これからは「環境のチカゲ」で行こう、とチカゲは真新しいハイブリッドカー
を見つめながら、そう思っていた。

「こういう車を役所が積極的に利用していくことで、民間の意識もあがる。
民間でのハイブリッドカーの利用が増えれば、東京の大気汚染の問題も
解決できるかもしれませんし、こういう21世紀型の技術の進展という
のが大切なんです。」
そう記者団に言い放つチカゲ。今日も「21世紀型」というフレーズを
使ったという一種の安堵感からふっと気が緩み、記者団に微笑みかけながら
さあこれから試乗ということで、車に乗りかけた瞬間だった。

「大臣、こういう車が増えると、ガソリン税が減るのですが、国土交通省と
してはその辺どうなんでしょう?」

思わずサザエさんの「んっがんんんっ」状態になったチカゲがそこにいた。
そして全く聞こえないふりをしながらも、動揺を隠しきれず、まさに記者団を
ひき殺そうかという勢いで、ハイブリッドカーのアクセルを踏むのであった。