35 :
無党派さん:
「おにぎりの具」
宗男はそうつぶやくと、ふと目を閉じて、コンビニエンスストアの
陳列棚を思い浮かべていた。
地元北海道産のコシヒカリで、さまざまな具材が包み込まれている。
代表的な鮭、梅干はもとより、最近ではツナ・マヨなどという一昔
前には考えられないものまでおにぎりの「具」となっている。
「おにぎりの具。それは想像力。」
宗男は閉じていた目をゆっくりと開けると、自分に言い聞かせるように
そう言った。
「10グラム1万円のキャビアがおにぎりの具になったって
おかしくない。ならば・・・」
キャビアの故郷である北の海を見つめながらそうつぶやくと、
暗雲が立ち込めていた暗い北方の空に一筋の光が見えてきた。
「福沢諭吉がそのまま具になって何がおかしいというのだ!」
宗男の想像力が確信に変化した瞬間だった。
すばやい行動力が自慢の宗男は、さっそくおにぎりの「具」を
調達に、近くのJAに向かうのであった。