287 :
服部忠幸:
遠山金素人(文部科学奉行)
「その方、電磁波と光は本質的に”同じものである”と申しておるそうじゃな?」
福沢萌吉
「仰せの通りでございます、お奉行様。電磁波と光が”似て非なるものである”とは、笑止千万の寝言・戯言としか言い様がございません。」
遠山金素人
「何を根拠にそのように申すか」
福沢萌吉
「磁気を通す媒質と光子を通す媒質、これら二つの媒質を調べてみまするに、磁気を通す場合と光を通す場合とで、振る舞いが異なる場合も多うございまするが、しかれど、似ている場合も多うございます。」
遠山金素人
「しからば、電磁波の伝わる媒質と光の伝わる媒質を、ひとつひとつ調べて逝けば良かろう?」
福沢萌吉
「仰せの通りでございます、お奉行様。これがそのための来期予算でございます。」
遠山金素人
「なんだこれは、これでは研究開発費か資材調達費か判らぬではないか。この不可逆反応費というのは一体何か?」
福沢萌吉
「出鱈目に試してみて、何らかの発見があったときは研究開発費、何も発見できなかったときは資材調達費として、誠心誠意前向きに帳簿に記載する所存でございます。
遠山金素人
「して、不可逆反応費というのは一体何か?」
福沢萌吉
「実験をして材料が再利用不可能になった場合、焼き切れただの、燃え尽きただの、擦り減っただの、そのような場合は不可逆反応費として記載いたします。化学反応の消費税のようなものでございます。」
遠山金素人
「化学反応の消費税が増税となったとしよう。それは何を意味するのか?」
しあわせを呼ぶ男
「それは出鱈目な実験が出鱈目に終わる確率を示すものでございます。」