中国地震:聖地も倒壊、政府苦慮 チベット仏教、結古寺
【玉樹(中国青海省玉樹チベット族自治州)米村耕一】
中国青海省で14日発生した地震では、チベット仏教4大宗派の一つ、サキャ派の聖地、
結古寺(ジェグ・ゴンパ)も建物の9割が倒壊する被害を受けた。
同寺の僧侶によると死者50人、負傷者も70人を超えたという。
同寺は文化大革命時に一時破壊されたことがあるだけに、中国政府が対応を誤るとチベット族からの反感を招くと懸念されている。
結古寺は13世紀に創建。「弥勒千仏殿」「如意八宝塔」などの歴史的建造物が、海抜3800〜4800メートルにかけて点在する。
常時約500人が寺で生活しながら信仰生活を送っている。
◇最高位僧侶も犠牲
地震では急斜面に建てられた居住スペースの被害が特に大きく、高僧たちが寝泊まりしていた建物も完全にがれきの山と化した。
寺のふもとには、死亡したチベット族の遺体が集められており、僧侶たちの読経が響いていた。
「最高位のイシニマ・ラマも、ここで亡くなった」。倒壊した寺の居住地区を案内してくれた僧侶のアンナプさん(42)が、
山肌に広がるがれきの山を指さした。就寝していたイシニマ・ラマは、地震で崩れ落ちたがれきから自力ではい出そうとしたものの、
余震で崩れたがれきの下敷きになって死亡したという。「信者たちにも大きな衝撃だ」とアンナプさんは語った。
中国政府は結古寺の象徴性に配慮した対応を取っているようだ。
16日に寺を訪ねると、一般の避難民には行き渡っていないテントも、十数張り届いている。
「災害救援」と書かれた青いテントが急ごしらえの祈とうスペースになっていた。
僧侶の一人は「テントは、今朝届いた。カップめんも昨日持ってきた。
(文化大革命で寺を)破壊したけれど、今回は助けてくれていると思うよ」と中国政府の対応を評した。
http://mainichi.jp/select/weathernews/news/20100417dde001030027000c.html