<静かに襲来 津波の猛威>
養殖いかだや漁具が散乱して浮遊し、魚市場周辺の道路が水に漬かっていた。
チリ沿岸部で発生した巨大地震に伴う津波が到来した東北の沿岸部。宮城県沿岸部の姿は、
津波のエネルギーの大きさを物語っていた。ヘリコプターで沿岸部の様子を追った。
午後2時50分。宮城県南三陸町で、志津川湾に注ぐ川の河口付近を逆流する白い波を見つけた。
「津波ですね」。同乗した東北大災害制御研究センターの阿部郁男研究員(津波工学)が言った。
押し寄せた波は閉鎖された水門にぶつかり、沖に向かって引いていく。津波は何の兆候もなく到達した。
静かに襲来する津波の恐ろしさを痛感した。
阿部研究員によると、1メートル未満の津波でも流速はかなり早く、漁業被害が懸念されるという。
午後5時すぎに到着した気仙沼市唐桑半島沖では、心配が現実となっていた。
いつもは整然と並んでいるカキの養殖いかだが、湾内で散乱していた。
半分沈んだものもあれば、隣のいかだに乗り上げたいかだも。
阿部研究員は「三陸沿岸のカキやホヤ、ノリの養殖に大きな影響が出る恐れがある」と指摘した。
気仙沼港に目を転じる。午後3時すぎには異常が見られなかった魚市場付近が水浸しになっていた。
津波は第2、第3波の方が大きくなることがあり、「50年前のチリ地震津波もそうだった」(阿部研究員)という。
海岸から数百メートル離れた道路まで冠水した気仙沼市中心部。
太平洋沿岸は津波の危険があるという現実を、あらためて思い知らされた。
(写真部・長南康一、報道部・末永智弘)
最終更新:3月1日6時13分
沈む港町 三陸の打撃深刻 養殖施設が破損や流出(河北新報) - Yahoo!ニュース
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