だが、再審請求の準備を進める岩田弁護士は「足利で鑑定の信用性が否定されたこと自体が新証拠」
と強調する。「捜査機関が鑑定で試料をすべて使ってしまう問題は10年以上前から指摘されていた。
再鑑定のための証拠保存の制度化が必要だ」と訴える。
一方、捜査関係者は、飯塚と足利の両事件が同列に扱われることに反発している。「飯塚はDNAのほか
に、いくつもの状況証拠がある」と福岡県警の幹部。裁判では、事件現場付近で元死刑囚の車に似た車
が目撃されたことや、女児の服に付いていた繊維が元死刑囚の車のシートの繊維と一致したことも、
有罪の根拠とされたからだ。
当時を知る元検事も「飯塚と足利は立証構造が似ているようで本質が異なる。DNAは状況証拠の一つ
に過ぎず、仮にDNA型鑑定に疑問が出てもほかの状況証拠がそろっている」と話す。
だが、九州大学法学研究院の内田博文教授(刑事法)は、足利事件をきっかけに飯塚事件でも再審の
可能性があると指摘する。「今回の問題を契機に、裁判所や捜査当局が科学的証拠をどう扱っていくの
か注視する必要がある」
http://www.asahi.com/national/update/0623/SEB200906230004.html