生産・輸出が在庫調整進展で急回復、最終需要に動きも (朝日 中川 泉記者:2009年5月29日16時55分)
http://www.asahi.com/business/news/reuters/RTR200905290117.html [東京 29日 ロイター] 4月の貿易・生産統計から足元の輸出・生産が急回復している姿が鮮明になってきた。
企業の在庫調整が大規模かつ急速に行われた反動要因が大きいと見られているが、
自動車や家電購入に対する支援制度など、主要各国の景気対策に伴って最終需要に持ち直しの
兆候がうかがえるとの見方も浮上。
国内生産は4─6月に前期比10%近い上昇見通しとなり、7─9月も引き続き強めの動きになると見られている。
ただ、国内外の雇用悪化や設備過剰感による設備投資の停滞などマイナス面も一方で予想され、
今後は輸出、生産の回復力に持続性があるかどうかが、マクロ経済運営での焦点になりそうだ。
<生産は予想より早い回復>
「4─6月の生産は以前の予想より上振れている」−−。
29日発表された4月の鉱工業生産速報をみて、市場間関係者の間でポジティブ・サプライズの声が上がった。
4月は市場予想を上回る前期比5.2%の上昇となり、5、6月の高い生産予測を踏まえると4─6月期は
前期比9.8%の上昇と過去に例を見ない急速な回復が展望できる。
エコノミストの間では2ケタ・パーセントに近い上昇となるのは7─9月ごろと見られていただけに、
回復が想定よりも早く始まっている可能性がある。
生産急回復の背景として、4月の輸出が急速に盛り返した点を指摘できる。
日銀が発表した4月の実質輸出は前月比7.8%の上昇となり、1995年2月以来の高い伸びとなった。
内閣府輸出数量指数でみると、米国向けはまだ前月比減少しているものの、
欧州向け輸出は同4%の増加、アジア向けが6%増加した。
昨年末から始まった世界的な在庫調整により、国内の在庫水準は4月に前年比で7.2%低下し、
現基準で過去最大の減少幅となった。
特に電子部品・デバイスは前年比15%減少、輸送機械は40%程度も減少している。
マネックス証券・チーフマーケットエコノミスト、村上尚己氏は「減らし過ぎた在庫水準を復元する動きが、
生産加速をもたらしている」とみている。(続く)