◆日雇い派遣労働者として体感した日本型貧困の実態 14年後の日本考(3)
今、日本で最も社会的な論議のひとつとなっている日雇い労働者派遣問題。その実態はどうなっているのか。
筆者は自ら日雇い専門の人材派遣会社に登録し、10月半ばの3日間、
2004年の労働者派遣法改定で合法化された製造業現場での派遣就労を試みた。
これを通じて、「豊かな社会」の最底辺で生きる人々の苦悩、欲求、そして現代日本の抱える固有の問題を体感した。
生活苦から望んで残業する中年女性が目立ち、消費者ローンの返済で翌日の生活費の工面に必死の人もいた。
フリーターと呼ばれ、その日暮らしをしているのは決して若者らだけではなく、むしろ中高年者が目立った。
かつて大阪・釜ケ崎、東京・山谷に代表された、日毎に就労現場を変える日雇い労働者の群れは、
今や全国津々浦々に広がっており、14年間不在した日本社会の変容ぶりをまざまざと見せ付けられた。◇
■人間ロボット
■痺れる足腰、それでも残業
■広がる差別感
■日当受け取りに焦り、休日返上
「明日は日曜日で派遣会社は閉まっている。今日の稼ぎが受け取れなかったら明日は生活できない」
との女性の言葉が今も耳の底で響いている。つまり「蓄えなし」と告白されたに等しいからだ。
消費者ローンを返済して、生活費に回す金が底をついたようだった。
「貧困層」と呼ばれる人々のこんな日々の繰り返しが、心を蝕み、荒ばせている。
親の心の荒廃は子供に直に伝わる。
家庭をめぐる悲惨な犯罪が多発するのもここに根源があるのではないだろうか。
増殖するばかりの派遣業者。労働者派遣法はさらに改定され、全職種が対象となるのも時間の問題であろう。
日本型貧困を悪化させている人材派遣業者の利益=ピンはね額は闇の中である。
永田町に巨額のキックバックがあることは間違いあるまい。◇
前政権(福田政権)が唱えた「安心社会作り」がそらぞらしく感じてならない。
http://news.livedoor.com/article/detail/3893328/