【朝鮮マンセ】民主公認・初鹿あきひろ【東京16区】
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無党派さん:
イザベラ・バード著「朝鮮紀行―英国婦人の見た李朝末期」(講談社学術文庫)
◆イギリス人が見た、19世紀末の朝鮮に関する興味深い記述を引用◆
●ソウルの「風光」のひとつは小川というか下水というか水路である。
ふたのない広い水路を暗くよどんだ水が、かつては砂利だった川床に
堆積した排泄物やごみのあいだを、悪臭を漂わせながらゆっくりと流
れていく。水ならぬ混合物をひしゃくで手桶にくんだり、小川ならぬ
水たまりで洗濯をしている貧困層の女性の姿に、男ばかりの群衆を見
飽きた目もあるいは生気を取りもどすかもしれない。これはソウルに
特有であるが、女性たちは一様に緑の絹のコート――男物のコート――
を着ており、「衿」を頭にかぶって目の下で押さえ、耳のところから
幅広の長い袖をたらしている。朝鮮の女性はあだっぽい美女ではないので、
顔や体を隠すのはむしろけっこうなことである。
疥癬〈かいせん〉で毛の抜けた犬や、目がただれ、ほこりでまだらになった
半裸や素裸の子供たちが、あたりに充満する悪臭にはまったくおかまいなし
に、厚い土ぼこりや泥のなかで転がりまわったり、日なたで息を切らせたり、
まばたきしている。
●城内ソウルを描写するのは勘弁していただきたいところである。北京
を見るまでわたしはソウルこそこの世でいちばん不潔な町だと思っていたし、
紹興〈シャオシン〉へ行くまではソウルの悪臭こそこの世でいちばんひどい
においだと考えていたのだから!都会であり首都であるにしては、そのお粗
末さはじつに形容しがたい。礼節上二階建ての家は建てられず、したがって
推定二五万人の住民はおもに迷路のような横町の「地べた」で暮らしている。
路地の多くは荷物を積んだ牛どうしがすれちがえず、荷牛と人間ならかろうじ
てすれちがえる程度の幅しかなく、おまけにその幅は家々から出た固体および
液体の汚物を受ける穴かみぞで狭められている。悪臭ぷんぷんのその穴やみぞの
横に好んで集まるのが、土ぼこりにまみれた半裸の子供たち、疥癬〈かいせん〉
持ちでかすみ目の大きな犬で、犬は汚物の中で転げまわったり、ひなたでまばた
きしている。飼い犬といえどほとんど野犬にひとしい。若い犬は春に屠殺され、
食べられてしまう。