■雇用環境も福祉も欧米以下! 日本は「世界で一番冷たい」格差社会
(前略)日本はアメリカと似て国家の福祉機能が小さく、また、「自助努力が大切だ」と考える人が多い。
しかし、企業や社会にはじき出された人を守るシステムが弱く、家族に頼らなければならない。
経済的に余裕のある家庭ならばよいが、問題は家庭内で解決できない時にどうするかである。
意外に聞えるだろうが、生活保護の受給条件はじつは日本のほうが厳しい。
アメリカでは個人に受給資格があればよいが、日本では家族の所得も事実上調査される。<>
日本の役所は生活保護の申請書をくれなかったりするが、
他に助けてくれる所がないから行政に行っているのになかなか助けてくれない。<>
欧州先進国の多くは国家の福祉機能が大きく、
「市場で失敗するのは個人だけの責任ではないので、国家が助けるのは当然だ」と考える人が多い。
こうしてアメリカとヨーロッパ、日本を比べてみると、日本が一番冷たい社会のように思える。
正規・非正規社員の賃金格差の問題にしても、同じ仕事をしながら賃金に大きな差がでるということはアメリカではあり得ない。
もしあれば明らかに組織的な差別であり、企業は訴訟を起こされて何十億円もの莫大な賠償金を強いられるだろう。
日本企業ではインサイダー(内輪の人間、つまり正規社員)の雇用保護が強いので、アウトサイダーの非正規社員が不利益を被ることになる。
皮肉なことだが、日本が本当に市場原理を導入していればこのようなことは起こらないはずだ。<>
ヨーロッパでは労働組合(産業組合)が強いので、非正規社員に同じ仕事をさせて賃金を低くするという雇用形態は許さないだろう。<>
日本は非正規社員を守るシステムが事実上ほとんどないが、これは政治的に解決できる問題だ。
政府がそれをしないのは、企業の反対が強いからだろう。
しかし、日本企業もいつまでインサイダー保護を続けられるかというと、限界がある。<>
正規社員が減れば厚生年金加入者も減り、受給者とのつじつまが合わなくなる。
高度成長の時代ではないので、何が持続可能なのかをよく考える必要がある。
最終的には日本人がどういう社会で生きたいのかということだ。
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