>>812 語っていいのか?
捕鯨問題を「伝統文化の侵害(右)」「飽食日本の驕り(虐)」「動物愛護(緑)」という視点から論じるのは間違い。
IWCは元々「鯨保護」ではなく「水産資源としての鯨が枯渇しないよう、管理調整する」目的で設立された。
日本の捕鯨に対する正当性と立脚点もそこにあって、「伝統文化」「飽食」「動物愛護」というキーワードは除外して考えるべき。
日本の調査捕鯨は「IWCは、IWC科学委員会の調査報告に基づいて科学的に判断する」という大前提を満たすために
行われているもので、IWC科学委員会へのデータ提供が主目的。そして、調査捕鯨によって得られた鯨肉は
IWCの規定する「資源」であるため、資源を一切無駄にしないために調査後は解体して販売され、その収益を
IWC科学委員会の調査のための費用に充当している。
IWCによる禁捕鯨(モラトリアム)は、減少した鯨という資源の資源量回復のための「休漁」だった。
秋田のハタハタ漁が、2〜3年の休漁を経て資源回復した例は記憶に新しいが、モラトリアムはそれと同様のもの。
その結果、繁殖力の強い小型鯨類(ミンククジラなど)の資源量が大幅に回復したのだが、モラトリアムが解除
されないため逆に増えすぎている。
近年の日本沿岸での漁船・定期船との衝突事故、湾内へのスタンピード(暴走)、日本近海での漁業への
影響(鰯、秋刀魚、鰺、イカなどの小魚類は鯨の主食でもあり、日本漁業の漁獲目的とバッティングしている)
が問題視されている。
同様に、エサ不足から繁殖力の強いミンククジラが繁殖力の弱い大型鯨類(ナガスクジラ、ヒゲクジラ、ザトウクジラ、
セミクジラなどの絶滅危惧種)のエサ場であるオーストラリア近海(南氷洋)を荒らしている。大型鯨類は大きいが故に
繁殖数が少なく、妊娠期間が長かった。小型鯨類は小さいが故に繁殖数が多く、妊娠期間も短い。
このため、小型鯨類の増殖は大型鯨類の減少を加速させている。
続く。