大分教員汚職 教組と処分前に交渉 県教委 混乱回避へ「配慮」
大分県の教員採用汚職事件を受け、不正合格が確認できた教員21人の採用取り消し
を決めた県教委の幹部が、今回の対応をめぐり県教組幹部と「事前交渉」をしていた
ことが30日、分かった。教組側は「事件は県教委側に責任があり、教員の不利益に
ならないよう配慮してほしい」と求め、県教委側も理解を示したという。県教委は
「現場を混乱させないため」との理由で21人を臨時講師として雇用継続を認める方針
だが、教組への配慮もうかがえる。
関係者によると、小矢文則・教育長ら県教委幹部3人は、県教組側の要望を受け今月
8日夜、別府市の宿泊施設で会合を開いた。教組側は森政文委員長以下の幹部約20人
が出席した。
教組側は「不利益にならないような配慮」などを要望。小矢教育長は「採用取り消し後
のケアは考えている。(採用取り消しは)ケアなしではやらない」などと応じたという。
会合があった時期は、不正の実態を調べるため県教委が設けた教育行政改革プロジェクト
チーム(PT)が採用試験データの復元作業や過去10年分の人事担当者などへの聞き
取り調査を始めた直後だった。
県教委は29日の臨時会で、2008年度採用試験で不正合格が確認できた小中学校教員
と養護教諭計21人の採用取り消しを決めた。ただ、学級担任が急にいなくなるなど「現場
の混乱」を避けるなどの理由で、希望すれば臨時講師として雇用を続けることにしている。
県教委によると、県教組には小中学校教員の9割近くが加入し、全国屈指の組織率とされる。
県教組の森委員長は、県教委との会合について「組合員の権利を守るため当然のことを
した」と話している。西日本新聞は小矢教育長にもコメントを求めたが、応じてもらえなかった。
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/44554