41 :
無党派さん :
2007/07/08(日) 04:10:40 ID:Ie774yV4 総選挙まとめ1/26 《総評》 早いもので、総選挙から2年近くが経ちます。 総選挙当時の(むしろ2ch政治系の大半は)自民支持者の書き込みが主流でした。 しかし中の人は野党系無党派さんでしたから、本当にこの結果はショックでした。 呆然としている間に時間だけが過ぎてしまい…。 ともかく、本当にいまさらですが、これまでのデータも取り混ぜ振り返ってみたいと思います。 【1 自民党の勝負手】 改めて気が付くのが、自民党候補者の多さです。10人の増ですが、前職から34人もの 公認漏れ(言うまでもなくほとんどが郵政造反組)が生じたにもかかわらず、公認候補が 逆に増えたのは異例です。 勝算度外視で頭数を揃えればいいならまだしも(それにしたって、最低限なり手と 供託金300万円を用意しなければならず、まともに選挙運動をしたければさらに 費用はかさむから決して楽ではない)、ある程度勝算を見越して候補を揃えるには、 それなりの下準備がないと出来ません。いわゆる「刺客」も、解散前から 準備していたと言うべきでしょう。
42 :
無党派さん :2007/07/08(日) 04:11:36 ID:Ie774yV4
総選挙まとめ2/26 私は解散があるか無いかは、小泉氏なら解散を選ぶ可能性が高いのではないかという ある種の期待を持っていました。書き込みでぼかしていたのは、要するに外れた時が 怖かったし、やはり確証が持てなかったことです。しかし、結果論になりますが、 自民党は、いや、小泉総裁は、初めから解散を狙っていたと言うべきでしょう。 原則論としては、衆議院を通過し、参議院で否決された法案を理由に【衆議院を】 解散するのは変です。最低限、両院協議会を開き、そこで協議に失敗しても、 衆議院で三分の二以上の賛成を得られれば可決となるので(憲法59条)、 ここまでやって否決されて初めて解散に踏み切るのが筋でした。しかし、 首相が本気で解散すると言えば、筋論が吹き飛ばされてしまうのが日本の現実です。 かくいう自分も選挙になったことに高揚していましたから。 資金面でも、解散当日に早くもホテルニューオータニで経団連の奥田碩会長と面会し、 支持を取り付けています。奥田氏は個人的にも、自らが会長を務めるトヨタ自動車に 自民への全面協力を命じ、お膝元の愛知県での選挙に少なからず影響を及ぼしました (トヨタ労組の候補が民主党から立候補しているため、前回は自民全面支援はしなかった)。
43 :
無党派さん :2007/07/08(日) 04:12:58 ID:Ie774yV4
総選挙まとめ象徴的なのが、東京都選挙区(小選挙区25、比例区17)です。 前回、自民党は小選挙区24(全員が比例と重複)、比例単独2、計26人の候補を擁立しました。 その結果、選挙区12、比例区6、計18議席を獲得し、8人が落選しました。 今回、選挙区24はそのままですが、比例単独が6に増え、計30人となりました。 結果はご存じの通り、選挙区は23人まで当選。比例で8議席を獲得し、候補者が足りずに 1議席が次点の社民に行くという前代未聞の珍事まで起こった圧勝でした。 解散前の状況では、このまま解散すれば自民は負ける、少なくとも議席を減らすという 見解が主流でした(たとえば、『週刊文春』2005年、7月28日発売8月4日号 「9・11衆院選「全選挙区」完全予測」宮川隆義)。負けるかも知れない状況で、多くが既に 地盤を築いている造反候補相手に刺客を立て、さらに比例区の候補も増やしたのは大きな賭でした。 選挙では、まず頭数を揃わなければ政権獲得は不可能です。しかし、多く立てれば よいのではないことは、共産党を見れば一目瞭然。
44 :
無党派さん :2007/07/08(日) 04:13:39 ID:Ie774yV4
総選挙まとめ4/26 過去には、候補を立て過ぎて自滅した選挙、逆に立てなさすぎて損をした選挙の実例が 色々あります。 たとえば、1960年の第29回総選挙。同年、日米安保条約改定反対運動は空前の盛り上がりを 見せました。しかしその一方、社会党最右派は社共共闘などを不服として独立。 民主社会党(のちの民社党、1994年解党)を結成しました。民社党は解散時40議席 でしたが、105人の候補を立てました。社会党(解散時127議席)の議席を奪い、あわよくば 野党第一党の座を取って代わろうとするものだったでしょう。 ところが、結果は17議席と惨憺たる結果。社会党に取って代わるどころか、結党時の 勢力を取り戻すことは、二度とありませんでした(ただし、2007年現在民社党の後継組織、 民社協会の会員である国会議員は31人いる。これは共社を併せた30人を上回る)。 逆の例としては、1976年の第34回総選挙が挙げられます。自民党単独政権も21年目に入り、 ようやく動揺を見せ始めていました。この年、若手議員が新自由クラブとして独立(衆5参1)。 新自クは25人の候補を立て、一気に17人を当選させました。自民党の当選は249人と、 結党以来初めて過半数割れ(当時の定数511)となりましたが、追加公認10人を足して 過半数を確保しました。社会党などの革新政党には投票したくないが、自民党を支持 できない保守層、さらにこれまでの野党支持層の一部を奪ったのが、新自ク躍進の原因と いわれています。もし、新自クがより多くの候補を立てていたなら。自民党は追加公認でも 過半数に足らず、政権交代が起きていたかも知れません。
45 :
無党派さん :2007/07/08(日) 04:14:14 ID:Ie774yV4
総選挙まとめ5/26 実際に自民党が野党に転落したのはそれから17年後、第40回総選挙においてでした。 保守的な政策を掲げる新党が躍進しましたが、この選挙では新生党は69人(結党時前議員36)、 日本新党は57人(同0)、さきがけは16人(同10)を擁立しました。 目立つのは、参議院で4議席を得ていたとは言え、衆議院で議席0の日本新党の 候補者の多さです。孫引きになりますが、中井歩「「外からきた」改革派――日本新党と細川護煕」 (大嶽秀夫編『政界再編の研究』有斐閣、1997年所収)によると、日新は新自クが失敗したのは 候補者が少なかったからだと考え、出来るだけ多くの候補者を立てようとしたからと言います。 結果は、新生55、日新35、さき13議席でした。三新党は躍進し、自民は過半数に遠く及ばず、 さらに社会は惨敗し、この結果日新の細川氏を首班とした連立政権が成立することになります。 もっとも、頭数については民主党も準備していましたが………これについては後ほど。
46 :
無党派さん :2007/07/08(日) 04:14:47 ID:Ie774yV4
総選挙まとめ6/26
【2 「コートテール」の使い方】
主に米国で、Coattails(コートテール)という選挙用語があります。
http://japan.usembassy.gov/j/p/tpj-elec2004glossary.html フロックコートの後ろのすそのことですが、選挙ではその人気で候補者の当選力を
高める効果を指します。裾がまくり上げられて、他の候補も一緒に舞い上がり当選したと。
たとえば、日本新党ならコートテールの主は細川氏でしょうし、1989年の社会党なら
土井たか子氏、そして今回の自民党ならもちろん小泉氏となるでしょう。
共通点は、いずれも一過性の人気に便乗して当選していることで、次の選挙以降も
残るのはわずかです。
民社党が転けたように、ブームを期待してたくさんの候補者を立てるのは賭け以外の
何ものでもありません。
政党の中には、一度の敗退のために滅んでしまったところも多々あります。
それだけ、選挙で勝つのは大変なことなのです。
それだけでなく、ブームは一過性のものですから、機会を逃さずに勝っておかないと、
次でもっと勝てばいいやというのは通用しません。
新自クも日新も、ブームが過ぎたあとは惨めなものでしたが、日新は
一度は天下を取りました。それは、リスクを恐れずに候補者を用意
できたこと、そしてそのための資金もあったことが、
両者の勝敗を分けたのです(候補者を用意できなかった例としては、
1990年の社会党も挙げられる。そして、今に至るまで二度と機会はない)。
47 :
無党派さん :2007/07/08(日) 04:15:25 ID:Ie774yV4
総選挙まとめ7/26 さて、自民党です。実は、自民党もブームで損をした近例があります。 2001年の第19回参院選。小泉政権発足直後のブームで、前回は44議席であったのを 64議席に増やしました。改選数が5減っていますから、まさに大勝利です。 しかし実は、森喜朗前政権の元で候補者選定が進められていたので、森政権の不人気から、 候補者は抑え気味でした(前回の79人から7人減)。つまり、この時の小泉氏は、 候補者を増やすのが間に合わなかったのです。たとえば、前回2人立てて共倒れした 東京、神奈川で候補者を1人に絞りましたが、得票は2人当選に十分な数でした。茨城、 千葉、新潟でも2人当選が可能な票を得ています。つまり、自民は十分に候補を揃えて いれば、全盛期に匹敵する70人以上の当選も十分可能であったことになります。 自民党は資金力、候補者を揃える力は抜きんでており、さらに長年の与党生活で 貯めた貯金が莫大なので、選挙で取りうるオプションは多彩です。しかし、個々の 議員の力が強いため、執行部の好きにやりにくい面もあります。 小泉氏は郵政を利用し、反対派を叩き出すことによって、大きな力を得ました。 そればかりか、「刺客」を送り込むばかりでなく、比例区の候補もきっちり増やして いるあたり只者ではありません。 東京都で議席を取りすぎて候補者が足りない事態が起こりましたが、むしろ落選する 可能性がかなり高いにもかかわらず、比例区候補を4人増やしたために1人損しただけで 済んだと見るべきでしょう。
48 :
無党派さん :2007/07/08(日) 04:16:06 ID:Ie774yV4
総選挙まとめ8/26
【3 郵政と景気と言論の自由とイラクその他いろいろ】
第44回衆議院総選挙の投票率は、選挙区67.51%(男66.80% 女68.18%)、比例区67.46%
(男66.75% 女68.13%)でした。いずれも、前回に比べ8%point以上の大きな上昇です。
棄権党が第一党なのは相変わらずですが、選挙区では自民31.58%、棄権32.49%と
かなり接近しています。それでも、史上4番目に低い(つまり、1996年に
小選挙区比例代表並立制になって以来の4度の選挙がワーストを占めている)
投票率であったのが残念です。これほど関心を集めた選挙であってもなお、
三分の一が棄権したのかと。
前回のデータがない新党はさて置き、実は前回に引き続き候補を立てた政党は、
どこも得票「数」は増えています。つまり、自民は野党支持層を奪ったのではなく、
無党派層や、常時棄権層の支持を得ることに成功したのだろうと推測できます。
郵政民営化は小泉氏年来の宿願です。しかし、選挙前の時点では、有権者の注目は
薄れていました。
http://www.janjan.jp/media/0409/0409299291/1.php これは2004年9月、つまり総選挙の1年前のものですが、
(1)郵政民営化は概ね賛成 (2)しかし、優先順位は景気対策や金融などが上
となっています。2005年になっても、状況はそのままでした。
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/fukushima/kikaku/048/4.htm ですから、民主党が金融政策を公約に掲げたのは当然です。
49 :
無党派さん :2007/07/08(日) 04:17:04 ID:Ie774yV4
50 :
無党派さん :2007/07/08(日) 04:18:15 ID:Ie774yV4
51 :
無党派さん :2007/07/09(月) 03:17:00 ID:1VPjkj1n
52 :
無党派さん :2007/07/09(月) 03:18:49 ID:1VPjkj1n
53 :
無党派さん :2007/07/09(月) 03:19:49 ID:1VPjkj1n
13/26
【4 マスコミ報道の行方】
選挙は注目された者勝ちです。だから「偏向報道」が問題になるのは当然ではありますが…。
この選挙はマスコミが、完全に自民党に呑まれていました。
特に公示前は、刺客と造反しか候補者がいないが如き扱いが目立ちました。民主党は
「他に、××氏も立候補を表明しています…」とちらりと紹介されるだけ。
共産、社民は言うに及ばず。テレビ朝日の「選挙ステーション」も自民に好意的で、
自民支持者の牙城である実況板住民が相好を崩す始末(たとえば、米国が日本の政策に
注文を出す「年次改革要望書」について共産党の市田忠義氏と新党日本の小林興起氏が
触れると、キャスターの古舘伊知郎氏は「安倍(晋三)さん! 安倍さん!
そんな事ないですよね!!」と否定した。もちろん、普通に公開されている公文書である。
http://japan.usembassy.gov/j/p/tpj-j20041020-50.html http://tokyo.usembassy.gov/pdfs/wwwfj-regref20051207.pdf )。
もちろん、「刺客」候補を徐々に送り込むなど、ビジュアル的にマスコミの注目を
集める手腕にも長けていました。
自民が造反組に「刺客」を送った選挙区は33。一方、自民と民主の直接対決区は
のべ280。にもかかわらず、マスコミの報道は明らかに前者が主流でした。
54 :
無党派さん :2007/07/09(月) 03:20:46 ID:1VPjkj1n
14/26
この状況で「マスコミは反自民報道一色」と言い出す人があれば余程のバカか
為にする発言でしょうが、ネットでも紙媒体(たとえば『WiLL』2005年11月号など)
でも少なくありませんでした。いや、確かに雑誌に限れば反自民もありましたが
(週刊現代や金曜日など)、反自民一色というのはあり得ません。
全部自民一色じゃないと満足できないのでしょう。まったく欲張りな連中です。
もう一つの象徴的な事件は、選挙前ですが自民党の朝日新聞への取材拒否
(
http://www.jimin.jp/jimin/daily/05_08/01/170801b.shtml )、そして選挙では、
選挙当日、朝日だけ広告を出稿しなかったことです。(『毎日新聞』2005年10月27日号
「一筆入魂 171 朝日広告をやめブログ記者まで集めた自民の広報戦略」嶌信彦)。
http://adv.asahi.com/ad_rates/kihon.html これは朝日新聞の広告料(1p×1段あたり)ですが、実際はまず割引されます。
もちろん、常連客は割引幅が大きくなります。
しかし、選挙広告は公費負担が受けられる5回分までは定価となります(ただし
衆院はブロックの得票率2%未満、参院は全国得票率1%未満の団体は実費徴収)。
それ以上は値引きするでしょうが、選挙広告は新聞にとっても「おいしい」のです。
そして自民党に泣きついた朝日(「朝日読者には自民党支持者が少ないという
調査結果が出たうえ、予算もなくなってきたので効果的とみられる
スポーツ紙を選ぶことにした」と突っぱねられたとか)も情けない。
55 :
無党派さん :2007/07/09(月) 03:21:44 ID:1VPjkj1n
15/26 これらの自民の行動は、直接的には女性国際戦犯の番組改変をめぐる報道で、 朝日の内部資料が月刊『現代』9月号に流出した事件への報復です。 しかし、時は選挙中です。選挙中に解除したという話は特にありません。 朝日の反撃が怖いなら、選挙中にこういう露骨な真似はしないものです。 それだけ朝日は自民に見くびられていたことになります。 朝日に広告を出さなくても勝てるし、朝日は本気で刃向かえまいと計算したから こその行動なのですから。 自民が『現代』で記事にした張本人の魚住昭氏を完全に無視したのは、 魚住氏は本気で刃向かうだろうし、そうなれば魚住氏にも注目が集まるから、 無視した方が得策と判断したためでしょう。魚住氏はジャーナリストとしては そこそこ名の知れた人物ですが、一般的な知名度は朝日に遠く及びません。 果たして、魚住氏が反論しても(『創』12月号など)、その反論は一部の好事家の 目にしか止まりませんでした。
56 :
無党派さん :2007/07/09(月) 03:25:57 ID:1VPjkj1n
16/26
どちらにしろむなしいのは、何度も繰り返して来ましたが、『偏向報道』騒動は
所詮、既成政党の枠内でしか無いことです。
朝日からも産経からもNHKからも民法からも当たり前のように無視される
「泡沫候補」――又吉イエス氏や山下万葉氏など――は、しかしその偏向報道が
批判されることはほとんどありません。それどころか、公開討論会組織
「リンカーン・フォーラム」のように、公然と「泡沫候補」の排除を主張する
(
http://www.touronkai.com/qa/request.htm )
組織に対しても、その偏向への批判はほとんど見られないのです。
新聞広告でも、「泡沫候補」への扱いは冷淡です。たとえば過去の選挙を見ますと、
1992年参院選で、地球維新党や雑民党の広告は毎日は載せていますが、朝日は載せていません。
森岡健作(岩瀬達哉氏の変名)「泡沫候補撃退マニュアル!!」
(『別冊宝島356 実録! サイコさんからの手紙』)によると、1967年の衆院選を前に、
朝日、毎日、読売の三社は法務省、自治省と共謀の上、泡沫候補を紙面から
閉め出すための取り決めを行ったといいます。選挙広告の拒否を「泡末締め出しで
最もやってもらいたい」(原文ママ、法務省担当者)と言われたとあるので、朝日は
地球維新党や雑民党の広告を体よく断った可能性が濃厚です。
ミニ政党は門前払いにし、自民党には泣きつく新聞の、どこが反体制でしょうか。
57 :
無党派さん :2007/07/09(月) 03:26:51 ID:1VPjkj1n
17/26 前述の通り、選挙広告は公費負担分は定価収入のおいしい広告です。それをわざわざ 排除したのは、よっぽど泡沫候補を排除しなければならないという使命感に燃えて いたからでしょうか。しかし、このことをもって朝日の偏向が批判されることは ほとんどありません。毎日も産經も讀賣も、テレビも多くの雑誌もみんな同類だからでしょう。 森喜朗元首相は、選挙後このように評しました。 「もともと国民の関心は、年金や税制の方が上で、郵政は下の方だった。 でも選挙になると郵政は年金に次ぐ二番手になった。理由は賛成派も反対派も 郵政のことばかり話したからだ。小泉さんも「郵政」「郵政」って余計なことを しゃべらせなかった。みんな見事にひっかかった。小泉さんによる報道管制が 敷かれたようなものだよ」 森元首相、政局を語る 首相はノーサイド精神を(『産經』09/13)
58 :
無党派さん :2007/07/09(月) 19:48:53 ID:1VPjkj1n
18/26
【5 小選挙区の特性】
小選挙区制は1位の勢力に議席が集まるため、得票率以上に大勝利しやすいのが特徴です。
>>17 の議席率、
>>18-19 の得票率を比較していただければ一目瞭然。
自民は小選挙区有効票の得票率47.78%で、73.0%の議席を得ています。
民主は得票率36.44%、議席率17.33%ですから、いかに小選挙区の魔術が働いたか明らかです。
それ以外の党派では、共産は得票率7.25%で議席率0%。社民は得票率1.46%で議席率0.33%。
国民新は得票率0.64%で議席率0.67%、それ以外の党派の議席率は0%です。
小政党ほど損が大きくなるはずですが、共産が一番悲惨なのは、勝算度外視で大量の候補を
立てているためです。逆に国民新は、前職中心で議席防衛にも成功したため(選挙区で落ちた
亀井久興氏も比例区で当選)、小勢力ですがわずかながら議席率が得票率を上回っています。
しかし、社民と国民新の当選者はいずれも前職。小政党にとって、新人の議席獲得は至難です。
前回の自民は得票率43.85%、議席率56.0%でした。
対する民主は得票率35.65%、議席率35.0%です。
自民は得票率3.93%pointの上昇が、議席率17.0%pointの上昇に結びつき、逆に
民主は得票率0.79%pointの上昇があるにもかかわらず、議席率は17.67%point下がり、
議席数にして半減という大敗に終わりました。
つまり、民主は前回並みの支持を得ることに成功しましたが(ただし、候補が増えた
ため1人あたりの得票率はわずかに下がっている)、自民はそれ以上の
支持を得たため、前回民主の得た議席を大量に奪うことができたのです。
59 :
無党派さん :2007/07/09(月) 19:52:13 ID:1VPjkj1n
19/26
これが、得票率がダイレクトに議席に反映する比例代表制なら、自民の勝利では
あっても民主の敗北にはなりません(もちろん、政権奪取に失敗したという意味では
敗北ですが)。しかし、それぞれの選挙区で1位にならなければ当選できない
小選挙区制では、前回当選した党派が前回並みの支持を確保しても、他の党派が
それ以上の支持を得れば、議席を失うことになるのです。
小選挙区の得票率は、与野党かなり接近しており(与党49.22% VS 野党46.02% VS
郵政造反無所属3.03% VS その他無所属1.73%)、造反組を野党に数えれば完全に
互角となります。しかし、自民は眼下の敵である民主を上回りさえすれば、そこで
勝利となるのです。
さて。小泉氏は小選挙区反対論者です。
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik4/2005-08-21/2005082102_04_1.html これは共産党の記事ですが、小泉氏が小選挙区反対であったことは、著書にも明らかです。
1994年、現行の小選挙区比例代表並立制が成立しましたが、小泉氏は当時の与党
(細川連立政権)案に反対したのは当然として、自民の代案も棄権。最終的に
成立した妥協案も棄権しています。
小泉氏は自著『官僚王国解体論―日本の危機を救う法』(1996年、光文社)で、
小選挙区制に反対する理由として
「私のように、「小選挙区制度導入が即、改善につながるわけではない」
などと主張するとたちまち守旧派と決めつけられ、袋叩きにされたものである。
したがって、当時、法案には内心では反対だけれども、守旧派のレッテルを
貼られるのがいやで賛成してしまったという議員は非常に多かった。
国政をあずかる議員の大部分が本音では正しいと思っていない法案に、
「守旧派」というレッテルをマスコミから貼られるのが怖いからといって、
そのときの雰囲気に流されて賛成してしまったというのだから、その風圧が
いかに強いものであったかが、想像できるだろう。」(同、81ページ)などを挙げています。
60 :
無党派さん :2007/07/09(月) 19:53:24 ID:1VPjkj1n
20/26 小泉氏は、自らが小選挙区制に反対した理由をそのまま実践して見せました。 公認権を盾に反対派を潰そうとし、反対派はその理由を問わず、 「守旧派」のレッテルを貼られました。 ここが小泉氏のずるいところで、小泉氏は郵政民営化をあくまで目指したように、 原則論で突っ走る人物であると言われています。しかし、本当に原則論者なら、 自らが危惧した造反潰しを実行したりはしないものです。 勝つためなら自説を翻すことを平然と、臆面もなく、堂々と実行できる。 もし後ろめたさを見せていれば、たちまち叩かれたであろうに、その臆面もなさが 支持者を勇気づけ、反対者の批判をかき消したのです。 逆に、民主党の中心となっているのは、かつての細川連立政権に加わり、 小選挙区制推進を行った政治家達です。現に、民主党は公約で比例区の定数削減を 一貫して掲げています。これは、共社を潰して民主・自民の完全な二大政党制に するという意味もあります。 政権獲得を狙うなら、小選挙区制より比例代表制の方が民主には有利ですし、 そうでなければ共産や社民と協力するのが現状では勝率を上げる手段でしょう。 しかし民主は、どちらも取りませんでした。一つには、そうすれば自民の格好の 批判材料となるからですが、それでも協力した方がいいのが小選挙区という制度。 こちらは、原則論で損をしたケースです。 勝つために原則を簡単に曲げるようでは、まともな政党とは言えません。しかし、 そのままでは勝てない状況ではどうするか。ここが選挙の難しいところです。 民主党に限って言えばこの結果は自業自得ですし、小選挙区の性質上想定内と言えます。 しかし、比例区に限れば三分の二程度の勢力の二党が、議席のほとんどを独占する 小選挙区制は、結局は有権者を選挙から遠ざけ、一部の勢力家が選挙を牛耳る 事態を進めるだけでしょう。それで「強力な与党」は生まれやすくなるでしょうが、 それではまともな選挙とは言えません。
61 :
無党派さん :2007/07/09(月) 19:55:18 ID:1VPjkj1n
62 :
無党派さん :2007/07/09(月) 19:57:03 ID:1VPjkj1n
22/26
しかし、特定郵便局長等が国家公務員法違反に問われたことは一度もありません。
2001年の第19回参院選で、大樹などの支援した高祖憲治候補(当選)の選挙活動で、
郵便局員らが選挙違反に問われ逮捕されました。
http://news.kyodo.co.jp/kyodonews/2001/kouso/rightmenu/hyososinso-01.html このケースでも、国家公務員法違反は適用されていないのです。
国家公務員法違反の被疑で捕まったのは、猿払事件と、2004年3月に、
共産のビラを配って捕まった社会保険庁職員(2006/6/29東京地裁で有罪)の
ケースがあるだけです。
これだけでも、支持政党による差別は明らかであり、選挙の公正を害するものです。
逆に言えば、そのような不正に目を瞑れるほど、自民にとって有力な組織であり、
小泉氏にとっては強敵であるはずでした。
しかし、郵政造反で立候補した34人の態度は、そういった先入観通りではありませんでした。
造反組で、新党に参加したのは7人。残りの27人は、無所属での立候補を選びました。
自民公認漏れが無所属で立候補し、当選したら追加公認を受ける。今までも
繰り返された光景です。無所属は政見放送に出られないだけでなく、ビラ・ポスターの
枚数など様々な選挙活動で、政党候補に比べ圧倒的に不利な条件を強いられます。
それでも新党ではなく無所属を選んだのは、自民に戻れなければ駄目と考えたからでしょう。
63 :
無党派さん :2007/07/09(月) 19:57:49 ID:1VPjkj1n
23/26
さらには選挙後。郵政民営化法案は再提出され、10月11日衆議院を通過、14日参議院で
可決成立しました。衆議院では、無所属で当選した13人のうち、11人までが態度を
翻し賛成(反対1は平沼赳夫氏、棄権1は野呂田芳成氏)。賛成に回った野田聖子氏は
「与党が圧倒的多数を占める国会で、私が再び反対しても法案成立を阻止することは
できません。法案に修正をかけることさえできないのが現実です。」
http://www.noda-seiko.gr.jp/hitokoto/051013.html と言い訳していますが、これはおかしい。
野田氏も認めているように、民営化反対を公約にしたからこそ支持した人がいるわけです。
確かに選挙では民営化賛成派が勝ちました。しかし、反対を公約に当選したのに、
賛成派が勝ったから賛成に回りますというのは、明確な有権者への裏切りです。
勝ち負けは議席の多寡という形で出ているのであって、お前らは負けたから
多数派に従えが如き主張はおかしい。それでは議会の意味がありません。
結局、最大の利権は「与党でいること」。
郵政の利権がどれほど大きくても、与党の座に勝る利権はないと考えたからこそ、
造反派達は公約を捨てて賛成に回る醜態を晒したのだと思います。
小泉氏は郵政利権を批判することで、政権という日本最大の利権の座を守ったという次第。
64 :
無党派さん :2007/07/09(月) 19:59:10 ID:1VPjkj1n
65 :
無党派さん :2007/07/09(月) 20:00:34 ID:1VPjkj1n
25/26
さらに、今回はblog管理人を集めた懇談会を開いています。自民の態度の
乱れは、ネットの積極利用に転じた中で生まれたものでしょう。
2006年に入り、Webサイトでの活動の解禁を打ち出しました。
http://www.asahi.com/digital/internet/TKY200605300493.html 自民党が、ネット選挙に自信を深めてきた現れでしょう。
また、広告代理店「電通」の開発したWebサイト書き込み解析「電通バズリサーチ」
http://www.dentsu.co.jp/business/teritory02/solution/Buzz/main.html は、関連会社のガーラが運用していますが、同社は2chと独占契約しています。
http://www.gala.jp/pdf/pr_20050810.pdf 自民党はどこと選挙広告の契約を結んでいるかを表向き秘密にしていますが、
電通です(『論座』2005年11月号の世耕氏インタビュー)。
この総選挙で2chの珍作が過去最高の勢いだったのは、偶然ではないでしょう。
電通は公明や民主の広告にも携わっているものの、世耕氏の指揮した広報戦略に
大きく関わっていました。
世耕氏は、「刺客」や与党幹部などの発言を細かくフォローし、たとえば
片山さつき氏には(落下傘と言われるが)「私は骨を埋めるつもりで来ています」
と言うようにアドバイスしたそうです。さらに、民主党の岡田克也代表は女性に
嫌われているから彼を前面に釣り出した方がいいとか(前掲インタビュー)、
同じく川端達夫幹事長はテレビ慣れしていないから、討論会には彼を引っ張り
出すようにする(『現代』2005年11月号「特命チーム“情報戦”工作の全貌」鈴木哲夫)
など、これまでにないきめ細かな広報を行ったとか。
世耕氏は前掲インタビューで「セオリー通り、基本をやっただけです」と豪語しました。
66 :
無党派さん :2007/07/09(月) 20:01:57 ID:1VPjkj1n
67 :
無党派さん :2007/07/09(月) 20:05:42 ID:1VPjkj1n
追加:27
しかし、こうした文書を見ますと、やりきれない想いになります。
http://tetsu-chan.com/05-0622yuusei_rijikai2.pdf http://slied.jp/yusei_050915.html 泣Xリードが内閣府政府広報室に売り込み、採用された広報企画ですが、
支持層となるべき「B層」をIQが低いと露骨にバカにしています。失業者などの扱いも酷い。
「国民はそんなにバカではない」との擁護もありますが、こちらはさらに始末が悪い。
http://makimo.to/2ch/news19_newsplus/1127/1127016091.html 国民を馬鹿にしたのは、他ならぬ内閣の側であるのに、それを批判する側に
すり替えて恥じるところがありません。
こんな連中の思い通りになったとは。
いずれにせよ、小泉政権が発足して4年あまり。にもかかわらず、郵政民営化の
お陰で、過去の実績を問われることなく選挙で勝利しました。
そして5年目、小泉内閣は総辞職し、安倍晋三内閣が発足しました。
しかし、これまでの内閣とは次元の違う失言の多さ、「戦後レジームからの脱却」
をスローガンに憲法改正への積極姿勢や教育基本法改正を行うなど、国家主義政策を強く
臭わせています。その一方で、対外関係はちぐはぐさが目立ちます。
いずれにしても、国会で何をしているのかを見守ることは大事です。
会議でどういう発言をしたのか、またはしなかったのか(採決以外さぼる議員も多い)。
ネットで会議録も中継も見られます。あなたの選挙区の議員が国会で何をしたか、
時々確かめてみてはいかがでしょうか。
68 :
無党派さん :2007/07/09(月) 21:25:19 ID:1VPjkj1n
《各党個別》1/20
冒頭のリンク先は各党の総選挙結果についての声明。ない場合は、できるだけ近い内容の記事へ。
【自由民主党】
http://www.jimin.jp/jimin/daily/05_09/11/170911b.shtml 何だか総評でも自民のことばかり書いている気がしますが、まだ自民です。
自民はほぼ最良の結果と言えるでしょう。296議席。議席率61.67%は、史上2位の
記録です(1位は1960年の第29回総選挙、63.38%)。選挙区では642万票、
比例区では522万票を増やしました。他党も得票数はほとんど落としていませんから、
自民の勝利は無党派さんの力が大であることは前出です。
もともと、自民は農村部で強い政党でした。これは結党以来概ね変わりません。
都市部で勝つとすれば、何らかのブームが起こった時。
69 :
無党派さん :2007/07/09(月) 21:29:03 ID:1VPjkj1n
各党個別2/20
比例区得票率(自民)
農村 中間 都市
第42回 35.8 28.8 21.2
第43回 40.0 34.6 30.9
第44回 38.7 37.3 38.6
選挙区得票率(自民)
第42回 45.4 35.7 25.7
第43回 55.1 47.2 41.6
第44回 49.7 49.4 49.1
選挙区得票率(民主)
第42回 30.4 33.8 35.5
第43回 35.0 42.5 42.8
第44回 34.6 40.4 37.4
(蒲島郁夫・菅原琢『二〇〇五年総選挙分析――自民党圧勝の構図』『論座』2005年11月号
および蒲島郁夫『戦後政治の軌跡』岩波書店2004年より。
人口集中地区割合による分類、詳細は
ttp://freett.com/sugawara_taku/data/2003did.html )
70 :
無党派さん :2007/07/09(月) 21:31:17 ID:1VPjkj1n
各党個別3/20 民主の比例区データが不足しているのが残念ですが、大まかの傾向は 分かります。民主は農村で弱く、自民は逆に農村で強く、都市で弱い。 ところが、この総選挙で、自民は都市部で大幅に支持を伸ばし、逆に農村部では わずかながら支持を落としています。 これは、造反候補が農村部に集中していたからです(農村14/23、中間1/5、都市0/5。 分数は当選/候補者数。比例当選は農村、中間各1)。そして、農村部では造反候補が 健闘しましたが、都市部では全滅しています。つまり、自民党内の政争は、 郵政民営化のみならず、都市と農村――もっと言えば都市富裕層と農村の対立でもあったのです。 また、「官から民へ」を強調しつつも、候補者に官僚出身者が多く、「刺客」の供給源 にもなっていました(片山さつき氏、赤沢亮正氏など)。 自民の農村偏重は、二つの側面がありました。農村での公共事業や補助金投入などは 利権の温床となる一方、放置しておけば都市部に集まる富を配分することで、 貧富の差の拡大を抑える役割も果たしました。地方で職を得、飯を食うために 役立ったのは事実です。 郵政民営化や規制緩和は、そうした従来の自民党システムを破壊する象徴でした。 だからこそ都市部、特に特に大企業など自分の儲けを他人に渡すものか思い込む 富裕層の支持に繋がったのです(経団連の前身の一つ日経連は、1995年に 『新時代の「日本的」経営』で、正規雇用のエリートと非正規雇用の 「雇用柔軟グループ」などに分け、後者を主流にすべきとした。現状はその通り 進んでいる)。塗炭の苦しみを味わう人々を嘲笑う風潮を作った、彼等の罪は大きい。
71 :
無党派さん :2007/07/09(月) 21:32:16 ID:1VPjkj1n
各党個別4/20 同時に、農村部の支持はなお自民が圧倒しており、自民の政策転換が、農村の 決定的な離反に繋がってはいないことも分かります。 今後、自民が完全に都市型政党への舵を切るのか、揺り戻しがあるかは 微妙なところです(小泉氏の神奈川11区は都市型。安倍氏の山口4区は中間型、 麻生太郎氏の福岡8区と谷垣禎一氏の京都5区は農村型)。しかし、都市型、 しかも経団連など大企業と思惑の一致するところは多く、もし参院選でも 都市部で勝てたなら、自民はしばらくこの路線を取ると思います。 最後に公明との関係ですが、「自民を圧勝させることで公明を切る」とは 2chでも叫ばれる主張です。もともと、参議院で過半数を割っていても 自民単独政権だった時期もあるので(1989-1993、1998)不可能ではありません。 しかし、組織票の確実性の高い公明票は、自民にとっても魅力的です。 公明が自民候補を推薦した選挙区で、自民当選は190。 仮に、公明比例区票の半分が自民に入れたとして、それが離反すると39人が 落選。全部で同様なら93人が落選と過半数を失います。公明票が次点候補に 味方した場合、自民の落選はさらに多くなります。 1位でなければ意味のない小選挙区制では、自民としても簡単には公明を 切れないのです。政策的に公明を無力化しつつ、適当にその力を利用できればと 云うのが本音ではないでしょうか。
72 :
無党派さん :2007/07/09(月) 21:33:32 ID:1VPjkj1n
各党個別5/20
さて、小泉氏の後任として首相・党総裁となった安倍晋三氏。しかし、
統一協会系の国際勝共連合の支援を受けていることは覚えていたい。
★安倍首相がカルト統一教会「合同結婚式」に祝電! 3
http://society6.2ch.net/test/read.cgi/giin/1160767409/l50 また、外交路線がAll or nothing、相手の要求を完全に拒絶するか(対中朝など)、
丸飲みするか(対米国)になっているのも気になる点です。従軍慰安婦問題では、
元従軍慰安婦や中韓には強気に出ていたのに、アメリカに批判されるとなぜか
「アメリカに」謝罪し、各方面を呆れさせたことも記憶に新しいところです。
7月の参院選は、2001年の小泉ブームで得た議席の改選であり、これ以上の
議席増は望めません。しかし、衆議院の数があるので、そこそこの負けなら
平気という気楽さがあります。場合によっては、改憲を目的とした民主との
大連立も狙って来るでしょう。
73 :
無党派さん :2007/07/09(月) 21:34:41 ID:1VPjkj1n
各党個別6/20
【民主党】
http://www.dpj.or.jp/news/200509/20050912_10seimei.html 総選挙で一番負けたのが民主党でした。急な解散とはいえ、299人の候補を
立てたのは頭数の準備ができていたことを示すものですが(前回より候補を
増やした党は自民と民主のみ)、結果が伴わなかったことになります。
選挙区では290万票の増加。にもかかわらず議席が半減したのが小選挙区の
恐ろしさです。逆に、比例区では105万票減らしています。これは、
選挙区では自民候補に投票しつつ、党は支持できずに比例で民主を選んだ人が
減ったために比例票は減った。しかし、共産・社民の選挙区候補が減少し、造反新党と
大地合わせても選挙区の候補は少数であったことから、これらの党の支持者が、
選挙区では民主に流れたことが影響していると思います。
小選挙区に限らず、選挙は次点までの候補のみの争いとなり、それ以下の
候補は当選から遠ざかる傾向になります(デュヴェルジェの法則)。これは、
次々点以下になると見られる候補は見捨てられてしまうため起きる現象です。
定数が多いと誰が次々点以下になるか読みにくいため荒れがちですが
(多くの市町村選挙やトーナメントの予選が典型)、定数1の小選挙区制では、
誰が1位と2位になるか、事前に分かるケースが多くなります。これが、小選挙区が
二大政党、しかも第一党が勝ちやすくなる理由です。
従って、民主が勝つには、野党第一党のスケールメリットをどれだけ生かせるかが
ポイントとなります。
74 :
無党派さん :2007/07/09(月) 21:35:27 ID:1VPjkj1n
各党個別7/20 政策的には、民主は保守政党です。資本主義経済を前提としていますし、 マルクス主義はもちろん、資本主義経済を前提にした社民主義政党でもありません。 憲法改正にも積極的ですし、有事法制など自民と協力した法案も多い。 ただ野党であると言うだけで「社会党と同じ」と批判されることがありますが、 政策的には大きく違う党です。 しかし、旧社会党系から保守系、旧民社党系(政策的には保守に近い)と バラツキが大きいため、左右双方からの批判にもろい欠点があります。 自民もバラツキは大きいのですが、政権という最大の利権があるため、 多少の不満はなだめられます(逆に言えば、造反者を強引に切るのは 「自民らしくない」やり方だった)。野党にはそれがない。 また、「批判ばかりではない政権担当政党」を意識した結果、マニフェストでは 個別の政策を打ち出したものの、総花的になりインパクトが薄れてしまったのも 痛かった。小泉氏に「郵政民営化」という先制攻撃を受けたことで、無視しても 受けて立っても相手の土俵に立ってしまう結果となったのです。岡田氏は愚直に 政策を訴えたものの、マスコミを意識して自分の土俵を作る能力は劣っていたのです。 そもそも、自民が「与党で過半数維持」を勝利条件を掲げたのに対し、民主が 「単独で政権獲得」を条件にしたのは、まんまと高いハードルを付けさせられた ようなものでした(自公は5議席を減らしても勝利条件を満たすが、民主は64議席 増やす必要があった)。共産、社民とも対決姿勢を取り、退路を断った形だったのです。 相手が自公協力しているのに、民主が単独では不利は否めません。 民主が単独政権を狙ったのは、解散時は民主が勝つのでは言われて意を強くした 側面もあったのでしょう。しかし、結果は共産・社民など他の野党の力がなお 無視できないことを示しています。その協力を得なければ、政権獲得は難しいでしょう。
75 :
無党派さん :2007/07/09(月) 21:37:04 ID:1VPjkj1n
各党個別8/20 民主党の惨敗を受けて当選した前原誠司氏が不振で、偽造メール問題で自滅後、 代表となった小澤一郎氏は取り敢えずの成功を見せています。 これは、野党は政権に協力したり対案を重視するよりも、対決路線が有効で あることを示していると思います。 そもそも、野党は今の与党の政策を支持しないから野党にいるのであって、 いつも与党に協力する野党に用はないのです。また、対案が採用されたと しても、採用した与党の得点になってしまいます。協力すべきだと言う人は、 まず与党を支持しているから言うのであって、承知するならば与党入りを 目指した方が早いでしょう。 ただ、戦術としての対決路線は限界があります。共謀罪や教育基本法改正案でも、 その危うさが現れていました。対案を出すにしても、単に与党と妥協するのではなく、 将来政権獲得したらどうするかを示して行く必要があるでしょう。 参院選は、これまた比較的楽な立場です。少なくとも負ける心配は ほとんどありません。しかし、民主単独で勝てるほど甘くありません。他党との 協力も得たいところですが…。国民新には割合協力的なものの、大分では県連が 社民を裏切り、独自候補を立てたのがマイナス材料です。 ところで、労働者の組織である労組の支援が批判され、経営者の組織である 経団連などの自民支援が批判されないのはなぜでしょう?
76 :
無党派さん :2007/07/09(月) 21:40:56 ID:1VPjkj1n
各党個別9/20
【公明党】
http://www.komei.or.jp/news/daily/2005/0912_06.html 自民党が大勝利したのと裏腹に、与党で議席を減らしたのが公明党でした。
選挙区では9万4千票、比例区では25万票増やしましたが、いずれも議席は減っています。
公明は組織票頼りであり、無党派さんの支持を得られなかったことを示しています。
比例の898万票は過去最高ですが、裏を返せばこのあたりが公明の限界と言えそうです。
公明は選挙協力の見返りに、「比例で公明」を宣伝するよう要求しましたが、
自民支持者はさほど動かなかったことになります。特に、小泉人気で新たに投票に
加わった有権者は、ほとんど公明には流れなかったでしょう。
公明は創価学会が母体であることが強みであり、限界です。強力な組織票と
熱心な選挙活動があるので一定の勢力は維持できますが、これ以上の支持拡大は困難です。
今回重複立候補をしなかったのも、惜敗率勝負で序列が入れ替わる事を
恐れてのことでしょう。重複立候補で惜敗率を競わせた方が有利なのですが、
組織的にそれができない。
77 :
無党派さん :2007/07/09(月) 21:42:26 ID:1VPjkj1n
各党個別10/20 ただ、これまで自民と連立を組んだ政党は、影が薄くなったり自民との妥協が 支持者の怒りを買ったりして自滅への道を辿っていますが、公明は組織票の 強固さから保っています。 創価の池田名誉会長にもしもがあれば、事態は変わるかも知れませんが………。 今のところ、公明は組織票ゆえ自民党から捨てられないものの、政策的な独自性は 発揮しづらくなっています。公明としても、与党でいる利益は大きいので状況は 変えづらい。自民が本気になって創価を潰しに掛かるのを恐れている、という説もあります。 参院選も、そこそこボチボチの議席は得るでしょう。しかし創価の子分である 以上、今以上は望めません。キャスティング・ボートを握る力は持っていますが、 下手に味方に付けようとすれば、アンチ票を刺激するおまけ付き。 また、一部の選挙区では今回は当落線上と予想される候補もいます。 福本潤一氏の除名騒動を見るに、普通の政党には、なれないものでしょうか…。
78 :
無党派さん :2007/07/09(月) 23:14:18 ID:1VPjkj1n
各党個別11/20
【日本共産党】
http://www.jcp.or.jp/giin/senkyo/2005_syuin/20050912_com.html 共産党は現状維持でした。選挙区では9万9千票、比例区では33万票の増。しかし、
小選挙区は3回連続で全滅。議席が前々回の半分以下の状況は変わらず、じり貧です。
共産党は、1960年の第29回以来続けてきた全選挙区擁立(無所属や他党候補の推薦含む)
を初めて中止しました。ただし、共産の地盤は都市部で、擁立を見送ったのは
農村部ばかり。そのため、選挙結果にはほとんど影響がありませんでした。
もともと、小選挙区制は共産に不利といわれていますが、回を追うごとに選挙区では
見込み薄になっています。「共産が候補を立てなければ民主が勝てたのに」とも言われます。
共産は、政策的にはそろそろ社民主義に転換しようとの動きを見せていますが、
旧来の支持者からは反発があります。また、それでいながら自分が主導権を握らなければ
済まない性分が仇となり、他党との選挙協力はなかなかうまく行きません。
知らない人は知らないですが、左翼政党は大概仲が悪く、その中でも共産は
お山の大将という感じです。
増税反対、護憲では社民党と一致するのに、むしろ近親憎悪の関係です。
自民党の場合は、まず選挙で勝つことが絶対条件であり、政策は後からついて来ます。
それは、郵政民営化推進を公約にする一方、小選挙区制反対をたやすく捨てた
小泉氏を見れば明らかでしょう。ところが、共産などの左翼政党は、当選を
至上目的とする事を恥に思う意識が、明らかにあります。勝つことよりも、
独自路線で玉砕した方がいいと思っているように見えます。
79 :
無党派さん :2007/07/09(月) 23:15:05 ID:1VPjkj1n
80 :
無党派さん :2007/07/09(月) 23:15:40 ID:1VPjkj1n
各党個別13/20
【社会民主党】
http://www5.sdp.or.jp/central/timebeing05/danwa0912.html 社民党は1議席回復。選挙直前に1名民主に逃亡したので、それを差し引くと
2議席増やしたことになります。
選挙区では70万票減、比例区では69万票増。ここも、前回が悪すぎたため、
比例で多少回復しても前々回の半数に及ばない状況です。1議席が自民勝ちすぎで
お鉢の回ってきた票というのも少々まぬけです。
選挙区の得票減は、候補を減らしたのも理由の一つですが、二大政党への埋没が
進んでいるのも大きな要因でしょう。
とは言え、執行猶予中の辻元清美氏に頼らなければならない状況はいかにも苦しい。
候補者のなり手が居らず、高齢化が進んでいます。
辻元氏は、どぶ板の選挙運動で票を稼いでおり、その意味で左派では特異な人です。
選挙活動において貴重な人材ですが、実践が伴うかどうか。
自民圧勝の余波で議席の回って来た保坂展人氏は、漫画などの表現規制問題で
活躍しており、個人的には期待しています。
参院選では、勝つためには民主・共産どちらかと(できれば両方)組む必要があります。
政権交代にしろ、護憲にしろ、単独で訴えてももはや注意を払うのは一部の物好きだけ。
小党が注目を集めるためには、それ以上の何かが必要なのですが…。
81 :
無党派さん :2007/07/09(月) 23:16:37 ID:1VPjkj1n
各党個別14/20 【国民新党】 (現存せず) 国民新党は4議席を獲得。選挙前の勢力を維持し、一応の面目を保ちました。 しかし、準備不足は明らかで、サイトも完成まで手間取り、さらに4コマ漫画が からかいのネタにされる有様(現在はサイトを移転し漫画は削除)。 綿貫民輔代表や亀井静香氏が得票を減らしつつも議席を守ったのは、やはり地方の 選挙区であったのが理由の一つでしょう。 この党が自民復党を前提とした腰掛け政党なのか、独立した保守政党となって 行くのかまだ分かりかねます。自民が都市政党としての道を歩むなら、地方を 代表する保守政党として独自性を発揮するでしょう。とは言え、10年後に 残っている可能性はかなり低いと思います。まだ、地盤となる地方議員の多くが 自民に留まっている事情もあります。 参院選では、現在のところは民主を支援しつつ、自民への復縁にも含みを 持たせています。比例での議席獲得は可能でしょうが、どちらにしろ、 結論を急ぐ必要があるでしょう。
82 :
無党派さん :2007/07/09(月) 23:17:32 ID:1VPjkj1n
各党個別15/20
【新党日本】
http://www.love-nippon.com/to_hyo.htm 新党日本は1議席。国民新とは異なり、都市部を地盤としただけに、小泉旋風の
波をまともに受けた格好です。ちなみに、東京比例区であと10746票得ていれば、
自民の棚ぼたは日本に来ていました。その意味でも運がありません。
ただ、都市部なので得票数は稼げ、政党として認められる得票率2%を
辛うじて確保しました(国会議員5人かどちらかが要件)。ここも、国民新党
ほどではないにしろ準備不足が目立ちました。
将来は、新党日本以上にはっきりしません。田中康夫代表はどう云うつもりなのかと…。
自民に代わる都市部の保守政党なら、民主とかなり被ります。
また、政党要件確保のための国民新との議員バーターも記憶に新しいところです。
それだけ政党要件有無による差別が激しい、ということでもあるのですが。
参院選では、現職議員の滝実氏と荒井広幸氏が解党を要求。恥知らずな二人です。
田中代表が応じない限り解党はできないため、両氏は離党し自民復党を目指すのでしょう。
早速自民は食指を伸ばしています。
http://www.asahi.com/politics/update/0706/TKY200707060007.html うまく行けば地方と都市を組み合わせた新しい政党への模索が見られるかも
知れなかったのですが、国民新党と対照的に崩壊の一途をたどっています。
83 :
無党派さん :2007/07/09(月) 23:18:40 ID:1VPjkj1n
各党個別16/20
【新党大地】
http://www.muneo.gr.jp/kansha.html 新党大地は1議席。北海道の地域政党で、候補も北海道のみの擁立ですから、
上出来の結果でしょう。また、自民は全国での大勝と裏腹に、北海道では
議席が微減しました。大地にかなり票が流れたためと思われます。新党の中では、
比較的早く準備していたことも功を奏しました。
大地といえば鈴木宗男代表。「ムネオのおにぎり(=金)」は全板支援でも
よくネタにしていますが、このように利権政治家の典型とされています。ただ、
地方の立場を強調して支持を得ていたのも特徴です。鈴木氏個人への同情票もあったでしょうが、
アイヌ民族の権利を公約にするなど、これまでと毛色の違う政策は本物なのか?
政治資金収支報告をサイトに掲載したり、質問主意書を活用したり、
昔のムネオとひと味違うと言いたいようですが。
参院選は、北海道選挙区で民主の推薦を得て無所属として候補を擁立。
台風の目となる存在です。また、選挙後沖縄で、政治的立場の近い下地幹郎氏が
「そうぞう」を結党しました。こちらとの連携も注目されます。
84 :
無党派さん :2007/07/09(月) 23:22:37 ID:1VPjkj1n
各党個別17/20
【自由連合】
http://www.jiyuren.or.jp/ 自由連合は、代表の徳田虎雄氏が病気のため引退しました。噂は本スレにも
書かれていましたが、ALS(筋萎縮性側索硬化症)であることがのちに明かされました。
息子の毅氏は鹿児島2区から立候補しましたが、無所属で民主推薦を受けたため、
解党と思われました。
選挙後自由連合代表となりましたが、2006年の沖縄県知事選当日に離党を表明。
自党の推薦していた糸数慶子氏ではなく、与党推薦の仲井眞弘多氏を支援し、
当選したことなどのご褒美に、自民に復党しました。これも裏切り者です。
上のありさまですから、参院選でも候補は立てていません。このまま解党するのでしょう。
「泡沫候補」ファンにとっては貴重な存在でした。
85 :
無党派さん :2007/07/09(月) 23:23:19 ID:1VPjkj1n
各党個別18/20
【世界経済共同体党】
http://www.matayoshi.org/evaluation.html 最後は又吉イエス(又吉光雄)氏の世共です。今回も当選には遠く及ばず、
1557票は全候補者中最下位でした。前回は698票。倍以上増えてはいますが、
2回続けて最下位となりました。
スレッドではボランティアについての内紛が書かれたり、政治献金を求めた
ことへの批判が上がったり、それまでの祭り上げとは雰囲気が変わっていました。
実質的に個人で、選挙活動するのがいかに大変かが伝わって来ました。
お金が出て行く一方なのですから。
政策的には、見かけほど無茶は言っていないのですが、現在の経済を否定し、
自給自足でというのはやはり無理があると思います。
参院選は、残念ながら一番当選から遠い政党でしょう。年齢的にも
資金的にも限界は近いと見えます。
立候補も又吉氏一人が精一杯でしょうから、何票得票を伸ばせるかが焦点でしょう。
86 :
無党派さん :2007/07/09(月) 23:25:02 ID:1VPjkj1n
各党個別19/20
【無所属(郵政造反)】
自民党の項目で述べましたが、自民復帰前提が見え透いたのがここに分類された
人々です。27人中13人が当選しました。全て前職ですから、かなり議席を
食われたことになります。
自民過半数割れなら追加公認で有利な条件を付けて復帰…を目論んだのでしょうが、
結果は裏目に出ました。それでもあれほど叫んだ郵政民営化反対(実は修正派も
含んでいたが)をかなぐり捨て賛成に回ったのはみっともなかった。
完全に悪役兼引き立て役となり、しかも無所属であるがゆえの数々の公職選挙法上の
不利も受けたことを考えるなら、意外と頑張ったとする見方も可能です。
勝てると高を括っていたというのが、無所属を選んだ一番の理由でしょうが。
静岡7区で造反者として刺客を差し向けられた城内実氏は、前回は自民と連立中の
保守新党の熊谷弘代表に対する刺客となりました。自民は表向き熊谷氏を推薦したものの、
実際には当時の安倍幹事長以下県議に至るまで公然と城内氏を支持し、熊谷氏を
落とすことに成功しました。その城内氏が、今度は追い落とされる側になりました。
………狡兎死して走狗煮らる。
自民がこの分類の無所属候補を「除名」せず、自分から離党させる「離党勧告」に
したのは、いざとなったら復党を認める余地を残しておく意図があるのでしょう。
と思ったら、結局2006年12月にほとんどが復党しました。
http://ja.wikipedia.org/wiki/郵政造反組復党問題 無所属で残った議員も、次の選挙までの辛抱と考えているのでしょう。
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無党派さん :2007/07/09(月) 23:26:04 ID:1VPjkj1n
各党個別20/20 【無所属(その他)】 最後の最後です。事実上の自民支援の堀江貴文氏(短期間でああいうことになるとは)が 一番目立ちました。彼以外でも、自民公認漏れの保守系無所属が目立ちます。 新潟では田中眞紀子氏が議席を守ったものの得票を減らしたのは、地元の支持も離れ始めて いるためでしょうか。ただ、田中氏の言動がほとんど取り上げられなかったのは、 人気はマスコミがコントロールしている面が大きいと思わされる出来事でした。 沖縄では、公明と対立し自民公認漏れとなった下地幹郎氏が当選。 茨城では斡旋収賄で有罪となり失職しながら、強固な組織力を元に中村喜四郎氏が復活。 神奈川では、補選で当選しながら前回落選した江田憲司氏が当選。 いずれも、当選者は保守系が占めています。 しかし、「おっぱい」中西一善氏は敢えなく落選しました。 それ以外では、元外務官僚の天木直人氏、豊臣秀吉の生まれ変わりを称する羽柴秀吉氏が 小泉氏に挑むも見事に玉砕。東京で「アニメ・声優界改革による若者の雇用確保」などを 政策にした山下万葉氏、埼玉で「自民党民主党過半数割後の政治を主導する新党」を 名乗ったものの、この党名での立候補は認められなかったらしく無所属での出馬となった 山口節生氏など。 参院選は、純粋無所属で勝ち目がありそうなのは、東京選挙区の川田龍平氏と、 広島選挙区の河野美代子氏くらいといわれています。