自民党は今選挙、知事と札幌市長の独占を目指し、現職の高橋氏の人気に便乗して
新人の清治真人氏を売り込む「連動選挙」を展開した。しかしふたを開けると、
高橋氏の圧勝と裏腹に清治氏は惨敗。もくろみはもろくも崩れた。
その6日前の2日、伊藤義郎・道建設業協会会長から高橋陣営幹部に1本の電話が入った。
「非常事態だ」。この日、新聞各紙は世論調査に基づき、清治氏が自民支持層の5割しか固めておらず、
高橋氏の支持者の半数が「市長は現職の上田文雄氏に投票する」と回答したと報じた。
「初めから『はるみ人気』に乗っかって自ら足場固めをしてこなかったツケだ。運動が上滑りしている」。
経済団体幹部は青ざめた。この時点で既に支持層の8割を「清治氏支援」で固めた公明党も露骨に不快感を示した。
「個人人気が7割、政党と後援会の力は3割」。高橋氏の陣営幹部は勝因をこう分析する。何がこれほどまで
高橋氏の人気を高めたのか。毎日新聞の出口調査では「経歴や実績重視」と答えた有権者の7割が高橋氏に投票。
公共事業の削減や行財政改革の敢行など、1期目の歳出削減路線が評価を上げたとも見て取れる。
一方、前国土交通省技監の清治氏の主張は、積極投資による税収増、景気浮揚が主眼。
政党は「自公推薦」という枠組みで高橋氏とのペアでまとめてごり押ししようとしたが、
有権者は政党の思惑もどこ吹く風、政策・人物本位で1票を投じた。
札幌市長選大敗、自民系道議の議席減。統一地方選・第1ラウンドの大勢が判明した9日未明、
武部氏は疲れきった表情で吐き捨てた。「知事がこれだけ取ったからって連動しないもんなんですよ。
高橋さんの票であって自民党の票でも公明党の票でもないんですよ」
「連動選挙」の旗振り役による、事実上の「敗北宣言」だった。【横田愛】
http://www.mainichi-msn.co.jp/chihou/hokkaido/seikei/news/20070411hog00m010005000c.html