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無党派さん:
結局のところ、連合国がこの11条に込めた意味というのは、こういうことです。講和
条約が発効すると、占領中になされたもろもろの政策はすべて失効し、東京裁判などの
戦争裁判で有罪を宣告されて投獄されている戦犯も釈放されねばならない。日本に対
する戦争裁判の最後の判決は昭和26年4月ですから、そこで重刑を受けた戦犯でも1年
かそこらで釈放されることもありうる。連合国としてはそれは困る。だから、投獄されて
いる戦犯を赦免したり、減刑したり、仮出獄させる権限は、連合国側との了承の下でやら
ねばならず、日本国政府のみで勝手にやってはいけないということを取り決めた。これが
11条の意図なのです。
だから、毎日は第11条の前半部分だけを引用していますが、その後の部分に、戦犯の
赦免、減刑、仮出獄につ いては、連合国の決定が必要だという条文が続いています。つま
り、これは東京裁判の判決の効力を講和条約が発効した後も維持させるために入れた条
項で、重点は条文の後半部分にあり、毎日が引用した前半はその説明文なのです。事実、
当時の国会においても、外務省の西村熊雄条約局長がそうした趣旨の答弁をしています。
ですから、講和条約発効後は、投獄されている戦犯の方々の赦免・釈放などは国際問題
となるけれども、それ以 外の事柄で日本国政府や日本国民が戦犯として亡くなられた人
々をどう処遇するかということは、日本国民自身の判断に委ねられるべきであって、サン
フランシスコ講和条約とはなんら関係がない事柄なのです。