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無党派さん:
テレビキャスターの田原総一朗氏などは、靖国参拝を敗戦六十周年の記念日に敢行せん
と構えている小泉首相のことをさして、「信念の人」とよんでいる。しかしこれは形容の間
違いというものであろう。確固たる価値観にもとづいているのが信念であって、我らの首
相の精神の背骨に信念の心棒がつらぬかれているとは思われない。この人において強いの
は、自分の前言に遮二無二こだわる「依怙地の人」という性格なのだとみえる。
たとえばこの首相は、靖国に祀られている英霊のことを、「心ならずも戦争に駆り出され
た犠牲者の魂」とみなす。これがあの大東亜戦争にかんする、まともな価値観といえるだ
ろうか。少なくとも死を賭して突撃するとき、自分らの国家の自分らの後生のために、と
公心を奮い立たせた兵士も少なくなかったはずである。だからこそ彼らの魂に「英霊」の
名が冠される。つまり英霊とは、「名誉」ある戦死を遂げた兵士に与えられる呼称であり、
その名誉は「国家にとって肯定的に評価できる貢献」に根差している。要するに、「英でた
霊」であるはずのものを「哀れな魂」と感じる小泉氏の感覚は靖国参拝者にはふさわしく
ないということだ。