警察庁出向の総理秘書官は飯島に襲撃計画の存在を伝え、密かに協議した。
「必要があれば特別警備体制を敷く用意はありますが、そこまでの事態なの
かどうか」
警察側の判断、情報の評価は定まっていなかった。
その日は即、表立った行動は取らずに事態の推移を見守ることを申し合わせた。
11/3 ようやく、小泉純一郎首相に『襲撃計画』が報告された。
当日は文化の日で、小泉は朝から皇居での文化勲章親授式に出席していた。
式典を終え、小泉は飯島ら官邸スタッフと、赤坂プリンスホテルでの昼食の
席で、飯島は自分に対する襲撃計画の情報があることを小泉に伝えた。
小泉は「万全の対策を取れ」と顔をこわばらせ、指示を下し、直ちに極秘の
内、官邸全体に厳戒態勢を敷いた。
他方では、政府・関係機関は情報の出所と背景を確認するための調査を急展
開した。
その結果、ある特定の組織が浮かびあがった。