229 :
無党派さん:
もうすべて終わったと、俺は自殺を決意した。
彼女にふられてまで、この世に生きていたくなかった。
雪の降る夜、車にチェーンをつけ、志賀高原の山路を登っていった。
雪のなかで眠りこみ、凍死しようと思ったのだ。
雪がしんしんと降り、おそらく零度以下の寒さだったにちがいない。
いろいろなことを思いうかべながら、雪の野原に寝た。だけど、
雪のなかで眠るなんて、とうていできることじゃない。
寒くて寝られない。
あまりに寒いから、いったんクルマのなかに戻って暖をとる。
『やっぱりお前はバカじゃない』吉野敬介著 P22 小学館文庫