【西村眞悟閣下】減刑嘆願【国士の数】→

○議長（池原喜代子君）　次に、日程第七、議員提出議案第４２号西村真悟衆議院議員に辞職を勧告する決議を議題といたします。
　提案理由の説明を求めます。１５番長谷川俊英議員。

◆１５番（長谷川俊英君）　（登壇）私は、ただいま議題となりました議員提出議案第４２号「西村真悟衆議院議員に辞職を勧告する決議」について、
提案会派の日本共産党堺市議会議員団及び堺・美原市民ネットを代表して、じっくりと提案理由の説明をさせていただきたいと思います。
　まず、提案をいたしております決議案の内容は、本日お手元に配布されております付議案件綴及（その１０）の２０ページに掲載をされております。
朗読をいたします。

　西村真悟衆議院議員は、非弁活動に関する弁護士法違反で逮捕され、起訴された。
また、その後さらに、組織的犯罪処罰法違反で再逮捕されるという事態に至っている。
　法の適正な運用に当たる弁護士として、また、国民の負託によって国政に参与する
国会議員として、このような行為は許されるものではない。
　同議員が、堺市の選挙区において立候補されたという経緯に鑑み、堺市民の負託を
受ける立場にある市議会として、西村真悟議員が直ちに衆議院議員の職を辞すること
を勧告する。

この文章に込められておりますように、西村議員は１１月２８日に弁護士法違反容疑によって
大阪地検特捜部と大阪府警に逮捕されました。
また、１２月１８日には弁護士法違反事件で起訴されるとともに、同日、組織的犯罪処罰法で
再逮捕される。その容疑は、無資格の弁護士業務で得た犯罪収益から分け前８３０万円を受け
取ったということであります。新聞の報道によれば、大筋で同議員は容疑を認めているとの
報道もございました。このような行為は、私は議員の政治倫理に著しくもとる行為であると
まず申し上げなければなりません。

皆さんにご紹介をしたいのは、衆議院が定めた政治倫理綱領でございます。
昭和６０年６月２５日、本会議において議決がされた政治倫理綱領を読み上げます。
　政治倫理の確立は、議会政治の根幹である。われわれは、主権者たる国民から
国政に関する権能を信託された代表であることを自覚し、政治家の良心と責任感を
もって政治活動を行い、いやしくも国民の信頼にもとることがないよう努めなければ
ならない。
　ここに、国会の権威と名誉を守り、議会制民主主義の健全な発展に資するため、政治倫理綱領を定めるものである。

一、われわれは、国民の信頼に値するより高い倫理的義務に徹し、政治不信を招く公私混淆を断ち、
清廉を持し、かりそめにも国民の非難を受けないよう政治腐敗の根絶と政治倫理の向上に努めなけ
ればならない。
　一、われわれは、主権者である国民に責任を負い、その政治活動においては全力をあげかつ不断
に任務を果たす義務を有するとともに、われわれの言動のすべてが常に国民の注視の下にあること
を銘記しなければならない。
　一、われわれは、全国民の代表として、全体の利益の実現をめざして行動することを本旨とし、
特定の利益の実現を求めて公共の利益をそこなうことがないよう努めなければならない。

　一、われわれは、政治倫理に反する事実があるとの疑惑をもたれた場合には
みずから真摯な態度をもって疑惑を解明し、その責任を明らかにするよう努め
なければならない。
　一、われわれは、議員本来の使命と任務の達成のため積極的に活動するとと
もに、より明るい明日の生活を願う国民のために、その代表としてふさわしい
高い識見を養わなければならない。

以上が衆議院が議決をいたしました国会議員の政治倫理綱領でございます。この綱領の趣旨に照らして、
西村真悟議員の今回の行動・疑惑は一体国民においてどのように判断されるでありましょうか。あるいは
また、この綱領をお聞きになって、この議場にいらっしゃる議員の皆さん方は一体どのようにお思いに
なるでしょうか。

　また、同議員は弁護士という社会正義を実現すべき立場にある資格をお持ちでございます。
日本弁護士連合会が定めております弁護士職務基本規程がございます。その第１章に基本倫理
が定められ、その５条には例えば、「弁護士は、真実を尊重し、信義に従い、誠実かつ公正に
職務を行うものとする」と規定され、第６条には、「弁護士は、名誉を重んじ、信用を維持す
るとともに、廉潔を保持し、常に品位を高めるように努める」というふうに規定がございます。
また、第２章の一般規律、第１１条「弁護士は、弁護士法第７２条から第７４条までの規定に
違反する者又はこれらの規定に違反すると疑うに足りる相当な理由のある者から依頼者の紹介
を受け、これらの者を利用し、又はこれらの者に自己の名義を利用させてはならない」。
いわゆる今度の起訴の容疑となっております非弁活動についての戒めでございます。

さらに第１２条には、「弁護士は、その職務に関する報酬を弁護士又は弁護士法人でない者
との間で分配してはならない。」「ただし、法令又は」というただし書きがございますけれ
ども、明らかに先ほどの容疑事実になっていることについても、弁護士の職務基本規程に反
する行為と言わざるを得ません。
　私は、このことに関して、先ほど大阪弁護士会に大阪弁護士会としての対応を問い合わせ
てまいりました。西村弁護士からは、日本弁護士連合会に対して、弁護士登録の取り消し請
求の申請があったそうであります。また、大阪弁護士会に対しては、退会届の申請があった
そうであります。しかし、大阪弁護士会はこれを受け取らなかった。理由は、既に綱紀委員
会において懲戒手続のための事案を調査中であるということであったそうであります。早晩、
大阪弁護士会においても、しかるべく処理がなされることであろうかと思います。

　実は、この議案については、本議会が始まる前、１１月２９日の議運に私たちは先ほどやや文面が異なった
決議案の提案をいたしました。共産党のほか、自由民主党堺市議会議員団のご賛意をいただきましたが、その
時点では、他の会派のご対応がまだ不明確でございました。私たちが早期に決議をしたいという申し出は通り
ませんでしたが、本日ここに提案をし、そして皆さんにお諮りをいたしております。
　過日の議会運営委員会では、いろいろの皆さんのご対応の表明がございました。しかし、本議案は私が先ほ
ど申し述べてまいりましたように、堺市議会が堺市民の代表としてどのような対応をするか大変注目をされて
いるところのものであるかと思います。また、この事件については、例えば産経新聞の社説では、このような
見解が表明されております。これは１１月２９日でございますから、私どもが議運に提案をした日の社説でご
ざいます。

　もともと、この事件は、かつて右翼団体の構成員だったという元法律事務所職員のトラブルを大阪府警が内偵、
捜査を進めるうちに元職員の悪質な非弁活動が次々と明らかになった。少し飛ばしまして、西村容疑者は、元職員
が逮捕された際、元職員は平成１２年にやめてもらった。法律事務所も閉鎖して、新規依頼を受けずに残務処理を
頼んでいた。その間に勝手に依頼を受けていたようだと、自身の事件への関与を強く否定している。ところが、
大阪地検の捜査が身辺に迫り、逮捕が避けられない情勢になると、名義貸しは否定しがたいと容疑の一部を認める
ような発言に変わった。大阪地検では、西村容疑者の行為は悪質で逮捕もやむを得ないと判断、強制捜査に踏み切った。

　そして最後に、西村容疑者は、民主党に離党届を出したが、容疑を認めるなら、ここはまず潔く議員辞職するのが筋だろうと。
民主党は、離党届を受け付けずに、党から除籍をし、議員辞職の勧告を行われるということになってることもご承知のとおりで
ございます。
　先ほど申し上げましたように、係る事態の中で、過日の議運では、公明党堺市議会議員団、フェニックス民主議員団、あたらしい風
の３会派が新たに私どもの提案に賛意をお示しをくださっております。残念ながら、自由民主党・市民クラブ、美原会、
さらにプロジェクト堺の皆さんには、私たちの提案への賛意はいただいておりません。ただ、しかしながら、堺市議会の良識と良心を
示すために、私は満堂の賛成を得たいということをあえて申し上げまして、提案理由の説明とさせていただきます。

○議長（池原喜代子君）　説明が終わりました。
　お諮りいたします。本件については、質疑、委員会付託並びに討論を省略いたしたいと思います。
これにご異議ありませんか。
　　　（「異議なし」の声起こる）
　ご異議なしと認めます。よって本件は、質疑、委員会付託並びに討論を省略することに決定いたしました。
　これより本件を採決いたします。本件は、原案のとおり可決することに賛成の議員の起立を求めます。
　　　（賛成者起立）
　起立多数であります。よって、本件は可決されました。

以上、堺市議会の議事録より。