小泉総理は運が強すぎる ▲124▲

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 米側では、ローレス国防副次官が協議を取り仕切ってきた。
世界規模の米軍再編を推進するラムズフェルド国防長官の側近で、
ほぼ毎週末に出勤して懸案を直接相談する間柄だった。
 ラムズフェルドは前年秋に来日した際、
市街地に近接する沖縄の普天間飛行場の危険性に警鐘を鳴らした。さらに、
(太字)「関東に大きな米軍基地が四つも必要なのか」(太字)と問題提起した。
 その意を体し、ローレスは、2004年11月の大統領選前に、基地問題で成果を上げたいと考えていた。
 だが、アーミテージは、「日米は協議の出発点を誤った」と感じていた。
 10月13日の町村との会談前、都内での記者会見で明言した。
 (太字)「個別の基地の話から始めたのは、順番が間違っていた。理念から始めた方が良かった」(太字)
 同時期にワシントンで開かれた日米審議官級協議では、この発想に基づき、協議を仕切り直すことで合意した。
今後は、@共通戦略目標の設定A自衛隊と米軍の役割・任務見直し
B在日米軍基地・部隊の再配置──の順に協議を進めることが決まった。
 1年近く迷走した協議がようやく軌道に乗った。
 そもそも1996年の日米安保共同宣言は、
(太字)「日本における米軍の兵力構成を含む軍事態勢について緊密に協議する」(太字)
とうたっている。日本側が宣言に盛り込むよう、懸命に努力した成果だ。
その協議が実現した途端、日本は「逃げの姿勢」に陥った。
外務省幹部は「実に情けない対応だった」と語る。
 昨年11月中旬の審議官級協議は共通戦略目標を議題にした。
中国原潜の領海侵犯の直後だった。
日本側も、中国の軍事力を正面から議論することをためらわなかった。
 米側からは、(太字)「素晴らしい”日中防衛協力”だな」(太字)との軽口も出た。
 今年2月19日、町村ら日米の外務、防衛担当4閣僚は共同声明で、共通戦略目標を発表した。
4人の表情は晴れ晴れとしていた。
 とはいえ、再編協議はまだ一里塚に達したに過ぎない。
 (敬称略。肩書は当時)