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次なるターゲットは小泉首相だった。
守屋は9月上旬、都内で小泉とひそかに会い、
米軍再編協議に積極的に取り組む必要があると直訴した。
山崎も9月9日、小泉に進言した。
(太字)「再編協議には前向きに取り組んだ方がいい。
それには首相の指示が必要だ」(太字)
小泉は大きくうなずいた。
翌日の閣議後、細田官房長官、川口外相、石破防衛長官の3人を呼び止め、
(太字)「よく話し合い、再編問題を進めてくれ」(太字)と指示した。
政府はようやく、再編協議に積極的に臨む方向にカジを切った。
ただ、方針転換は十分ではなかった。
9月14日朝、東京紀尾井町のホテルニューオータニに
細田、川口、石破の3閣僚と二橋正弘官房副長官がひそかに集まった。
細田は1枚の紙を示した。
<横田基地の米空軍司令部のグアム移転だけを受け入れる。
米陸軍第1軍団司令部のキャンプ座間移転などは拒否する>
基地再編の国内への影響を最小限に抑える「スモールパッケージ案」だった。
11月の大統領選の行方を見極めるという発想もあった。
(太字)「こんな案はだめだ。米側が了解するはずがない」(太字)
石破は強く反対したが、細田は応じなかった。