小泉総理は運が強すぎる ▲105▲

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続 小泉外交 1  1/4 3月10日 一面

文中タイトル(大文字) 「横綱相撲を」米に注文

 日米関係は今、「戦後最良」と言われている。
だが、米同時テロやイラク戦争への対応など難題も多かった。
「政治の現場」第7部は、日米関係を中心に、再び「小泉外交」を追う。

 「一体、何事か」
 その時、ブッシュ大統領は目を丸くした。
 2002年9月12日夕。ブッシュが定宿とするニューヨークの
ウォルドルフ・アストリアホテルのスイートルームで行われた日米首脳会談の時のことである。
 イラク問題に議題が移ると、小泉首相が突然、立ち上がった。
二、三歩前に進み出ると、両手と両足を左右に開いて身構えた。
 (太字)「日本には『横綱』という大相撲のチャンピオンがいる。
      横綱は自分からは決して仕掛けない。
       相手が仕掛けてきた時に、初めて受けて立つのだ」(太字)
 米国は当時、大量破壊兵器開発疑惑を抱えるイラクに対し、
武力行使を辞さない姿勢を強めていた。小泉は、超大国・米国を横綱にたとえることで、
イラクへの先制攻撃を自制し、国際協調体制を築くよう促したのだった。
 ブッシュは、真剣に耳を傾けた後、「国際協調の重要性は十分認識している」と語った。
 「横綱相撲」発言は、小泉が自ら考えた言葉だった。会談後も一切公表されなかった。
 同様の光景は7か月前、東京での首脳会談でも見られた。
イラクを「悪の枢軸」と名指しで批判していたブッシュに対し、小泉はこう力説した。
(太字)「大義なき力は『暴力』だ。力なき大義は『無力』だ。
    米国には今、力も大義もある。だからこそ、国際協調を追求すべきだ」(太字)
 日本側同席者は、「ブッシュの心に響き、かつプライドを傷つけないよう、
           首相が自ら考え抜いたフレーズだった」と解説する。