小泉総理は運が強すぎる ▲104▲

このエントリーをはてなブックマークに追加
754730
続 小泉外交 11  1/2

文中タイトル(大文字) イージス艦派遣に政治の波

 2001年9月21日朝、神奈川県の米海軍横須賀基地を空母キティホークが出港した。
10日前の米同時テロに対する軍事行動の一環だった。海上自衛隊の護衛艦2隻が随伴した。
 米軍は事前に防衛庁に懇請していた。
 (太字)「民間機やボートによる自爆テロがあるかもしれない。
      浦賀水道の出口まででも護衛してもらえないか」(太字)
 空母は出港直後の単独航行時が最も危険とされる。テロ再発を真剣に心配していたのだ。
 外務省内には、「米空母に伴走する海自艦は絵になる。CNNで放映されれば米国にアピールできる」
との思惑もあった。米側は後日、熱烈な謝意を表した。
 だが、福田官房長官は「聞いていない」と激怒した。
(太字)「この微妙な時期に刺激的なことをするな」(太字)
と防衛庁幹部をしかった。テロ対策特別措置法案の国会審議への影響を懸念したのだ。
 実は、防衛庁は福田に秘書官を通じて報告はしていた。
だが、「海自が警護活動」などとセンセーショナルに報道される可能性までは伝えていなかった。
 小さな行き違いが大きなしこりを生んだ。影響は、米国が求めたイージス艦のインド洋派遣にも及んだ。
 野中広務・元官房長官ら自民党内の非主流派は、イージス艦による米軍への情報提供について
「憲法が禁じる『武力行使の一体化』につながりかねない」とし、強く反対した。
小泉内閣を批判する狙いもあった。
 山崎幹事長は小泉首相に「構造改革が正念場の今、イージス艦はプラスにならない」と助言した。
福田も慎重論を唱えた。小泉は黙ってうなずいた。
 11月16日、自衛隊派遣の基本計画が決定されたが、イージス艦は見送られた。
 米側は失望を隠さなかった。ラフルアー国務次官補代理は、訪米した外務省幹部に
(太字)「軍事上の観点から判断すべき問題を、なぜ政治が決めるのか」(太字)
と不満をぶちまけた。国防総省幹部はこう皮肉った。
 (太字)「初出場のワールド・カップに、どうしてナカタ(中田英寿)を連れて行かない。
    自らの安全のため、最も性能の良い艦船を使うのは当然じゃないか」(太字)