開発者は誤解している:WiiUは高性能であり、まさしく次世代機である
まずはじめにこのことを開発者がWiiUを完全に誤解していることの説明の前に述べさせてほしい。
どんな次世代機でも同様だが、新ハードに関して、
開発者の理解がまだ及んでいない風変わりな点があるに違いないのだ。
では、主な不平不満について論じてみよう。
件の「遅い」CPU。
知っての通り、CPUのクロックスピードは低い。
実際は故意に低くされている。
WiiUのCPUは、Powerを基にしたIBM製であるということは正しい。
疑問を持った人のために言っておくが、Power7カスタムプロセッサではない。
つまるところ、Wiiと同じ技術で作られているということだ。
わざとこう言ったのだが。
CPUは、Wiiのものを単に3コアにしたものではない。
手始めに、45ナノメートルSOIプロセスというIBM由来の技術が用いられているのだ。
Wiiの時の90ナノメートルSOIプロセスから見れば甚だしい進歩だ。
本来、この技術ならば電力消費量を減らしつつもっと高いクロック周波数に引き上げることが可能である。
つまり、WiiUのプロセッサを低消費電力と高効率の下にもっとずっと速く走らせることもできる。
もちろん、それでもほんの少し速く出来るのが関の山だろう。
それでも根本的に遅いのだ。
しかしながら、このCPUはかなりの量のeDRAMを使っている。
これで何が可能になるのかといえば、つまるところ、WiiCPUを3コアにしたものに比して、
より多くのデータを一度に移動できるという点だ。
eDRAMにより多くのデータを保持し、その分一度に多くのデータを移動させることもできる。
そう、プロセッサスピードはより遅いが、Power7での技術に似て、より遅い速度で、
その速度での標準的なプロセッサより多くのデータを一度に移動できるのだ。
もう一度言うが、CPUはPower7ベースではない。
よって、eDRAMもある程度しか性能向上に寄与しない。
それでも確かに、性能の向上は、今世代機のCPUよりも高い効率を
WiiUのCPUが持つことを基本的には可能にする。
それだけでは、次世代においてはなんら賞されるものではなかろう。
しかしながら、主に(コンソール基準では)すぐれて高性能なGPUのおかげで、
WiiUは強力なプロセッサを必要とはしないのだ。
このGPUはRadeon HD 5670を基にしたものである。
本体の分解によって分かった通り、相当に大きいeDRAMのために、
Radeon HD 5670のWiiU向けカスタム版は、実際のところPC版よりも高性能である。
これは極めて重要である。なぜならHD 5670は実際にGPGPUだからである。(GPGPU向けの機能に対応しているからである?)
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GPGPUは、ゲーミングPCにおいては、いくつかの理由で急速に標準仕様となりつつある。
が、その中でも重要なことは、CPUの方が上手く処理できはするが、
GPGPUが従来はCPUが担当していた機能のいくつかを実際に扱っているという事実だ。
Laymanチームの証言では、物理演算のような最もCPU(プロセッサ)に負荷のかかるアプリケーションの中には、
実際にはGPUが担当したものもあるそうだ。
このことは、WiiUにおいては、CPUでそういったタスクを扱うことも出来るが、
GPUこそがそのようなタスクを処理するだろうという考えの下にこのコンソールが作られたことを意味するのだ。
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もし意図された流儀、すなわちこれは重いグラフィックス処理やゲームで用いる極度に数学的な式を担当することを意味するが、
それに則らなければ(GPUを大して利用せず汎用処理にも用いなければ)、実際に処理はより遅くなる。
最低限のものをGPGPUで走らせそれ以外全ての処理をCPUに投げたならば、
そうした機能を扱うように意図されていないCPUにとっては仕様を超えるものであり、
GPUが性能を発揮できない理由にもなりうる。
そして…問題が起こるのだ。
Mass Effect3のようなゲームが問題を抱えているのも、
Batman Arkahm City Armored Editionがフレームレートの大きな問題を抱えているのも、主にこういった理由によるのである。
本質的に言って、WiiUが性能不足である、ということはないのだ。
むしろ、通常CPUが担当しなければならないような負荷をなくし、消費電力や熱レベルを下げ、
究極的にはコンソール市場で最も高いグラフィックス能力を生み出すことに繋がる、
いっそう進んだ技術をWiiUが用いているということである。
全てがゲーム向けを狙ってカスタムされているので、WiiUは中程度のゲーミングPCのレベルにある。
ミドルクラスのゲーミングPCならば絶対にPS3やXbox360をなぎ倒すのだ。
といっても、これは万事がうまくいくことを意味しない。
PS4や720がよほどの馬鹿でない限りは、両方ともWiiUと同様のGPGPU機能を備えるはずだし、
プロセッサの性能も両方ともWiiUを上回るだろう。
WiiUは後塵を拝するであろう。しかし、PS4も720もWiiUに比してそこまで強力なGPUを特色に備えることはありそうもない。
実際、それらはより高性能なプロセッサを持ち得るのだから(すなわち、通例に則るはずだから)、
他のコンソールがGPGPU性能に劣ることは想像しうる。
その高性能なプロセッサでその分を維持できるからだ。
もちろん、それは技術面でのたわごとも多いが、こうした情報を持ってみると、
WiiUが立派に引けを取らないだろうことがわかるだろう。
ハードウェアを活用するようにゲーム作りの方法を根本的に変えることを、
DICEの様な開発者に要求しはするが。
同じような問題がPS3とそのCPUに起こったことがあった。
現在はWiiUとそのGPUにその問題が起こったわけだ。
将来、開発者たちはWiiUの強力なGPGPUを完全に把握し、可能な限りそれを推し進めるだろう。
特上のeDRAMや物理演算の様な処理を扱うGPUの計算能力があるのでそれを考慮すれば、
現世代機が苦しい状況にあるのは少しも不思議ではない。
今世代(WiiUオーナーにとっては前世代だが)のゲームは、極端にCPUに拠っている。
CPUに重く依存することがまかり通っている。
次世代においては、これははっきりと大きく変わるだろう。
WiiUはすでにその次世代にいるのだ。
コンソールゲームの開発者がWiiUのGPGPUを活用するという考えに至るには時間はかかるだろうが。
これは他の次世代機についても同様だ。
Laymanの言葉を借りる。
WiiUは、セクシーであり、誤解されているはいるが、
今のゲームよりもはっきりとヴィジュアルを高めよく動作させるためには、
開発者がプログラムの方法を変えなくてはならない真の次世代機である。
低速なプロセッサについての心配、不安は、通常プロセッサに取り置かれる物理演算の様な大きな処理をWiiUのGPUで扱うことが出来る、
という事実によって完全に解消されるのだ。
WiiUはいい奴になりそうだ。
PS4や720に性能はかなわないだろうが、
その強力なGPGPUが来たる次世代機にもついていくことが出来るということを保証してくれるだろう。
コンソールのしきたりに逆らってWiiUのようにGPGPUを使う最も大きな理由は、もちろんコストだ。
GPUはえらくコストが安い。
物理演算のような大きな処理をGPUに投げられるようになった時には、
コンソール全体の効率がほとんど10倍にまで引き上がる。
WiiUはPS3や360がすぐにできるようになると夢見るしか出来なかったことを実行している。
事実、それらも開発者も遅れずについていかねばならない。
ハードウェアがゲームを処理する方法自体が変わりつつあるのだから。
そして、WiiUとはその移行に完璧に対応したものなのである。