岩田社長の一日

24:15
宮本が菊穴開発用ローターを完成させ、昔から思い描いていた、こけし構想を実現したと連絡が入り引き返す
25:00
社長が訊く収録

　Wiiで菊穴トレーニング(宮本茂編)

　　1．長年思い描いた構想

岩田　では宮本さん、この商品の開発をいつ頃から考えていたんですか？
宮本　中学の頃からです。当時、菊穴開発にハマっていた時期があって、やっぱり初めてそういうことに興味を持ったわけで・・・
岩田　どう進めていいのか分からなかったんですね？
宮本　はい。まず、何をやっていいのか分からないんです。で、何か手引きになる物があればいいなと、入社してからもずっと考えてたんです。
岩田　宮本さんが昔から言っている、こけし構想の事ですよね？
宮本　はい。今となっては、こけしを開発したかったのか、菊穴を開発したかったのか分かりませんけどね(笑)
一同　(笑)
宮本　ようやく長年やりたかった事に取り組むことができました。

岩田　でも開発は順調には行かなかったのでしょう？
宮本　ええ。せっかく作っても、手に取ってもらえないと意味がありませんから、そこで悩みました。

　　2．目的に合わせたデザインに

宮本　ずっと悩んでると、手塚さんがやって来て、Miiを使ってみたら？って言ってくれたんです。それが大きな転機でしたね。
　　　　好きな人のMiiをこけしに使う事で、愛着が沸くし、芸能人のMiiを使う事で、今まで興味無かった人も関心を示すんです。
　　　　商品も菊穴も引き締まって、今まで抱えてた問題が一気に解決したんです。
岩田　まさに宮本さんの言う、アイデアとは複数の問題を一度に解決するもの、ですね。

岩田　ところで宮本さん。デザインについて、随分と長く悩んでましたよね？
宮本　はい。初めての人だけでなく、中級者までは満足できるような物にしたいと思ったんです。
　　　　そこで、先の方を細くして、根元へ行くに連れて太くなるデザインにしました。
　　　　こうする事で、菊穴の開発状況に合わせて、｢今日はここまで挿入しよう｣と目標を持って続けることが出来るんです。
岩田　目的に合わせてデザインを決めていったんですね？それは、ID(＊)出身の宮本さんらしい考え方ですね。

　　　　＊ID(インダストリアルデザイン)：工業製品の機能や外観のデザイン

　　3．多くの人に知ってもらいたい分野

宮本　やはり、こういう商品は嫌煙されがちなので、菊穴だけではなく、まずは、この分野の入口も広げたいなと思いました。
　　　　普段、菊穴には余り興味がない、お母さんでも、｢これくらいなら｣と安心して使ってもらえると思います。
　　　　それに、菊穴が得意なお子さんと、｢お母さんそこまでしか挿らないの？｣なんて家族の会話にも繋がりますしね。
　　　　ぜひ、家族みんなで使ってもらいたいです。でも、やっぱりそれだけでは満足しない人も出てくるんです。
　　　　「もっと太く出来ないの？」とか「僕みたいな、規格外の菊穴でも満足できるの？」とか言い出す人が現れまして。
岩田　それは誰が言ったんですか？
宮本　坂本さんです(笑)
岩田　あぁ(笑)。坂本さんの菊穴は最強ですからね(笑)
一同　(笑)
宮本　でも、あくまで開発キットとして、初めての方に向けての商品ですからと、坂本さんには納得してもらいました。
岩田　それで坂本さんは満足したんですか？
宮本　いえ。代わりに、岩田さんに満足させてもらいます、と言ってました(笑)
岩田　望むところです(笑)

　　4．社長も参加したデバッグ

岩田　今回は、恒例のちゃぶ台返しはあったんですか？
宮本　いえ、今回は大きなちゃぶ台返しは無いです。でも、モニターをやってもらう時に、マリオクラブの人達にまんぐり返しをしてもらいました。
一同　(笑)

岩田　マリオクラブの人達は、大変苦労してたみたいですね。
宮本　そうですね。やっぱりみんな初めての事なんでね、勝手が分からないというか・・・
岩田　マリオとは違うぞ、と(笑)
宮本　はい(笑)
岩田　今回、実は、私もモニターに参加させてもらったんです。
宮本　岩田さんが桜井君を連れてやって来たときはみんな驚いてましたよ。
岩田　なんだ？何が始まるんだ？って大騒ぎになってましたよね(笑)
宮本　社長のカービーは何でも吸い込むぞってね(笑)
岩田　俺達がスマッシュブラザーズだ！と(笑)

岩田　そうやって開発が進んで行ったわけですが、最後の最後で、大きな課題が発生したんですよね？
宮本　はい。発売直前になって、岩田さんからローションを内臓して
　　　　必要に応じて、こけしの表面に行き渡るようにして欲しいと言われたんです。

　　5．誰でもスッと入って行ける様に

岩田　私は、菊穴の開発キットとして、これ一本あれば、誰でもこの分野にスッと入って行ける様にしたかったんです。
　　　　初めての人は、やっぱりローションを使いたいだろうし、それをお客さんに、別に用意させるのはおかしいと思ったんです。
　　　　今回は、私がちゃぶ台返しをしちゃいましたけど、いきなりそう言われてどう思いましたか？
宮本　いや、まぁ・・・とりあえず発売は延期やろなと(笑)
岩田　この人は急に何を言い出すんだと(笑)。終盤になって無理なお願いをしてしまってすみません(笑)
宮本　いえいえ(笑)。結果的に、いい物になったと思います。

岩田　では、宮本さんの方から、お客さんへのアピールを、お願いします。
宮本　この商品を開発するに当り、初めての方でも安心して使える様な物を作る事を第一に考えました。
　　　　モニターをやってくれたマリオクラブの人達も、最初は警戒してましたが、デバッグの最後の方はもうノリノリで(笑)
　　　　ですから、満足して頂ける商品ができたという手応えはあります。まずは、手に取って体験してもらいたいと思います。

　　6．新しい世界へ

岩田　最後に私の方から。今回、多くの人にこの分野を知ってもらいたいという思いで、宮本さんを始め、この商品の開発に
　　　　たくさんの人達が関わってきました。技術者だけではなく、時にはマリオクラブの人達に、まんぐり返しをしてもらったり
　　　　これは怖いものじゃないよ？これはいい物なんだよ？と警戒心を解く事から始めたりもしてきました。
　　　　これ一本あれば、初めての方から、ある程度慣れてる方まで楽しんでいただける様に、こだわりを持って、一貫して開発を続けてきて
　　　　最終的に、いい物が出来上がったなという感触を得る事ができました。ぜひ手に取って、新しい世界に飛び込んできて欲しいと思います。
　　　　ありがとうございました。

27:00 就寝
　ベッドに横たわった岩田は、ふと窓の方へ目をやる。カーテンの隙間から漏れる街の灯りがまるで
　今にも自分の菊穴に襲い掛かろうと闇に潜んでいる獣の目の輝きの様に感じられて、思わず恍惚な表情を浮かべる。
　「あぁ、明日は坂本さんとの約束を果たさなければいけませんね・・。」そう呟くと、岩田は瞼を静かに閉じた。