真剣スレの住人が天界でまったりゲームの話をするスレ176
ホラーな流れに乗り遅れたような気がするけどキニシナイ!
長いので分割
奇談「カレー屋『天界』」
「お待たせしました、カレーの普通と8倍です」
ゲーム仲間の友人に指定された待ち合わせのその店は
コップの変わりに柄杓に水を入れて出すような奇妙な店だった。
「薄めると料金が下がるっていうのは変わったシステムだな」
「ここじゃルーがかかってればマシなほうさ。で、話って?」
「実は最近、新しいゲーム機を」
言いかけてサンダル履きの足に違和感を感じる。
見ると足首まで水に浸かっている。
店内を見回すと、全員私と同じ状態だ。しかし誰一人そのことを気にする様子も無い。
「どうした」
友人に真顔で尋ねられて、おかしいのは私のほうか?と一瞬、自分の正気を疑いそうになる。
だが水は紛れも無い本物で手で触れることも出来る。
「いや、なんでもない」
さっさと要件を済ませて店を出よう、そう思った私は早口で
「新しいゲーム機を買ったんだけど、何かおすすめの」
そう言った瞬間、胸まで浸かった。
友人の頭越しに他の客と目が合う。明らかに私を凝視している。
慌てて目を逸らすが、他の客も私を見つめているのが肌で感じられる。
私のこれから言おうとしている言葉を待ちわび耳をそばだて目を輝かせている。
どこからともなく流れてきて私の目の前で静止した
三角に折りたたまれた白い紙ナプキンを見ながら私は全てを悟っていた。
私以外の全員が柄杓を手に持ち私を取り囲んでいる。私に何かを伝えたがっている。
水面に浮かび上がってきた「私の柄杓」に手を伸ばし、私は尋ねる
「何かおすすめのソフトはあるかい」