★広島に原爆が落とされた日が、8月6日。
長崎は、その3日あとの8月9日に落とされた。
そして、さらにその数日後、8月15日に日本は降伏し、戦争が止った。
8月になるたびに、そのことを思い出す。その時、その場にいたわけではないけれど、
毎年8月になると、そのことを思う。
次の戦争を経験することがないかぎり、8月は、戦争と原爆を思い出す月だ。
原爆が落とされたおかげで戦争が終わった、などという理屈が、
ちょっとでも正しく聞えたとしたら、
「それはもう、とてもおかしいことなんだよ」と、ぼくは言いたい。
いや、仮にその理屈が正しいとしたって、ぼくは正しくない側にいるつもりだ。
今年は、汐留に、原爆がやってきている。あの壁画だ、『明日の神話』だ。
原爆を題材に、いのちが噴き出すような絵を描こうとした
なんか、本気じゃなくても真剣じゃなくても、同じ場所に立つだけでも、いいんだと思っている。
忘れられっこない8月が、そこにあるから。
8月は、戦争と原爆を思い出す月だ。次の戦争を経験しないかぎり、8月は。(糸井重里)