業界人です。
現場の声をお伝えするなら、今まではどの会社でも、新しい切り口のゲームのアイデアは今まで沢山出てきています。
ただ、
「このアイデアを商品化したいのでお金下さい」
と言う段階で、面白いアイデアがごっそり消えてしまうのが今のゲーム業界の現状です。
現在のゲームは皆さんのご存知の通り、作るのに凄い金額のお金が掛かります。
お金を出してくれるスポンサー・ゲームデベロッパーさんは、出資するからには当然儲けも期待します。
昔は結構少ない金額でゲームが作れたので、今で言うと
「少額出資ですごい儲け」
というのがゲーム業界だったのですが、最近は
「巨額出資で、元本が回収できるかどうかもわからない」
と言う状況から、出資額回収が手堅いと思われるゲームしか作らせてもらえなくなっています。
続く
手堅いジャンルとは皆さんが考えている通り
「今までヒットしたゲームのパクリ」
と言う奴です。
お金を出す人たちは「感性」というあやふやな物にお金を投資したりはしません。
「過去に売れたゲーム」というのは、「何万本売れたゲーム」として記録が残りますので、
「じゃあ過去に売れたゲームなら出資しても大丈夫だろう」
という理屈になるわけです。
そうなると、「今までに無い面白い・斬新で新しいアイデアや企画」は
「前例が無いので危なっかしくて投資できない。過去に売れたゲームなら続編も売れる【だろう】から投資してもいい」
となってしまいます。
続く
投資をする方々はゲームに疎かったり、ゲームを知ってても巨額出資に対するリスクの怖さから、
「過去に売れたゲームなら続編も売れる【だろう】 パクったものも売れる【だろう】」
という、安直な考えでしか投資の判断をしません。
売れるゲームと言うのは、自分ら開発系業界人のモチベーションも重要な要素になっていますが、
この【だろう】連鎖のお陰でモチベーションも下がり、せっかく面白いアイデアがあっても商品化にまで至らない焦燥感が
業界の中に渦巻いています。
それに拍車をかける様に、【口だけ業界人】といった、大して面白くないもの・パクったアイデアでもその場しのぎのトークで
商品化してしまう輩等の出現で、業界の中がもうおかしくなっています。
これをどう打開するかというのが当面の課題と感じています。
問題はハードの急速な進歩か
今FF13のラインナップが凄いことになってますが、これは今私がお伝えした
「開発者と投資者のジレンマ」
を一番判りやすく提示したものと言えるでしょう。
FF13のあの状況は、スクエニの株主意向を素直に具現化したものだと考えられます。
ユーザーから見れば酷い話ですが、スクエニくらい大きな会社になってしまっては、お金を出資してくれる「株主」の言う事には逆らえないのです。
ですので、有能かつ今のゲーム業界を憂いているクリエイターは大きな会社から独立し、少数精鋭でまた新しい畑と果実を作ろうとしています。
次世代のゲーム産業は、そういった方々と新興のゲーム会社の双肩にかかっています。
おそらく巨大資本のゲーム会社は、今のままでは未来は無いでしょう。
>>328 「ハードの急速な進歩」というのは、実は歓迎すべき事なのです。
今まで出来なかった事が出来るようになるのは凄く喜ぶべき事ですので。
問題なのは、
「開発に金が掛かり過ぎること」
「出資者が「ゲーム商品」と言うものをどうもよく理解していない事」
この2点だと考えます。
「開発者と出資者のジレンマ」と言うのは、ゲーム業界に限った事ではなく、今のアニメやマンガ業界にも当てはまります。
例えば最近で言う「ガンダムSEED」シリーズがその良い例です。
親企業がバンダイなので当然おもちゃが売れてくれなくては困ります。
なので、制作会社のサンライズは「おもちゃの宣伝」としての作品を作らなければならない。
なので、作品性を重視する富野監督よりは、親会社の言うことを良く聞きそうな福田さんに監督を依頼し、
結果出来上がったのが
「萌えキャラとガンダムだらけのおもちゃ宣伝アニメであるガンダムSEEDシリーズ」
だった訳です。
この下りにはもっと色々なドス黒い話が絡んでいるのですが、わかりやすく事例を提示するために端折りました。
ゲーム業界も、状況は違えども内情は良く似たものです。