Cell 39

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774名無しさん必死だな
久多良木は拒まなかった。
「IBMの言い分には納得できません。何とか説得して下さい」
「君達の主張は理解できる。ただし、最後は総合的に判断
することになるよ」
自分も技術者だからこそ、痛いほど2人の気持ちが分かる。
久多良木もまた苦悩していた。
結局、IBM社の主張は通った。サーバ機などへのCellの利用を想定
していた同社にとって、高性能MPUの常識であるスーパスカラ構造
の採用は不可避だった。かくして04年春コアの設計が始まる。
林と大澤も一緒に。程なく、作業は暗礁に乗り上げる。
IBM社の基本設計に大きな見落としがあることに発覚したのだ。
急遽、対策会議が。
「誰か解決策を思い付いた人は?」
「あっ、あのう」
声の主は大澤だ。これまでスーパスカラに反対した分、気後れしていた
のは事実だ。それでも大澤は解決するアイデアがあった。
「よし、君のアイデアでいこう」
経験が少なくても実力があれば認められる。Cell開発チームの
一員である喜びを噛み締めていた。

更に続く・・・